抗マラリア薬のアルテミシニン誘導体(アルテスネイトなど)は血管新生阻害作用がある

●L-カルニチンは抗がん剤治療の倦怠感や抑うつを改善し、組織や臓器の障害を軽減する

アルテミシニン誘導体(artesunate, artemisinin, artemether)は薬草の青蒿(セイコウ、Artemisia annua)から抽出されるセスキテルペンで、マラリアの特効薬として使用されています。
セスキテルペン類は抗腫瘍効果を示すものが多く報告されており、例えばfeverfewから分離されたパルテノライドや、木香(モッコウ)から分離されたコスツノライドの抗腫瘍効果やがん予防効果が有名です。
(パルテノライドの詳細はこちらへ
アルテミシニンも抗腫瘍効果が報告されています。その抗腫瘍効果のメカニズムとしては、癌細胞に多く含まれる鉄と反応してフリーラジカルを発生して癌細胞を殺す機序が提示されています。(詳細はこちらへ
血管新生阻害剤は、サリドマイドを始めとして、癌に治療に有効であることは多く報告されています。
最近、複数の研究者からアルテミシニン誘導体が血管新生阻害剤として癌治療に利用できる可能性を示唆する報告があります。

文献1:
Inhibition of angiogenesis in vivo and growth of Kaposi's sarcoma xenograft tumors by the anti-malarial artesunate. Biochem Pharmacol. 2004 Dec 15;68(12):2359-66.

イタリアの国立がんセンターからの報告で、アルテスネイトがカポジ肉腫の増殖を抑制し、血管新生を阻害する作用が動物実験で示されています。

文献2:
Inhibitory effects of artesunate on angiogenesis and on expressions of vascular endothelial growth factor and VEGF receptor KDR/flk-1. Pharmacology. 2004 May;71(1):1-9.

中国からの報告で、卵巣癌を植え付けたヌードマウスの実験モデルで、腫瘍血管の新生阻害作用と腫瘍の増殖抑制作用を報告しています。

コメント:
アルテスネイトなどのアルテミシニン誘導体製剤は安価で、副作用はほとんど無く、癌細胞への直接的な殺細胞効果と同時に、血管新生阻害作用を有するため、癌の代替医療への応用が期待できます。