構成生薬名
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起源、効能・効果
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高麗人参
(こうらいにんじん) |
ウコギ科のオタネニンジン(Panax ginseng)の根。
消化吸収機能を賦活化し、種々のストレスに対する生体の非特異的抵抗性を強くする。蛋白合成を促進し、新陳代謝と免疫能を高める。強壮作用や抗疲労作用もある。
貧血、気力減退、食欲不振、がん性疼痛などに有効。侵襲的治療による骨髄障害や肝障害や免疫機能低下を抑制し、回復を促進する。手術などによる身体衰弱や栄養状態の改善にも有効。がん細胞の増殖や転移抑制なども報告されている。
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田七人参
(でんしちにんじん) |
ウコギ科のサンシチニンジン(Panax notoginseng)の根。 体力増強作用、肝細胞保護作用、障害を受けた肝細胞の再生を促進する効果がある。 血液循環を良くし、出血を止める作用がある。 |
黄耆
(おうぎ) |
マメ科のキバナオウギおよびナイモウオウギの根。 強壮作用があり、病気全般に対する抵抗力を高める。多糖類成分にインターフェロン誘起作用など免疫機能増強作用が報告されている。 体表の新陳代謝や血液循環を促進し、皮膚の栄養状態を改善する。 抗がん剤治療と併用して、抗腫瘍効果を高め副作用を軽減する効果が多くの臨床試験で確認されている。 |
女貞子
(じょていし) |
モクセイ科のトウネズミモチの果実 滋養強壮薬として利用されるが、動物の移植腫瘍の増殖を抑制する効果や、抗がん剤治療による白血球減少を回復させる効果などが報告されている。 |
霊芝
(れいし) |
サルノコシカケ科のマンネンタケの子実体。 滋補強壮作用、肝臓保護作用、白血球増加作用、免疫機能の増強・調節作用、鎮咳・去痰作用、抗がん作用などの広範な薬効がある。 |
梅寄生
(ばいきせい) |
ブナ、カシなどの広葉樹に寄生するサルノコシカケ科の担子菌類のコフキサルノコシカケの子実体。 煎じ液やそれに含まれる多糖類混合物には免疫力増強作用や抗腫瘍活性が認められている。 |
瓦茸
(かわらたけ) |
広葉樹の枯れ木や切り株などに多数群がって生えるキノコ(瓦茸:Coriolus versicolor)。 カワラタケの菌糸体から見つかった蛋白結合多糖(ベータグルカンに蛋白が結合)はクレスチンという商品名でがん治療薬として使用されている。クレスチンは免疫力を高める効果があり、抗がん剤治療による免疫力低下を予防し、生存期間を延長させる効果が複数の臨床試験で示されている。
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茯苓
(ぶくりょう) |
サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。 消化吸収を促進し、利水の効能により消化管内の水分を除くので、胃腸虚弱に伴う水分停滞に用いられる。 精神安定に働くので、動悸・不安感・驚きやすい・不眠などに有効。 多糖体成分には免疫賦活作用を介した抗腫瘍効果が報告されている。 |
猪苓
(ちょれい) |
サルノコシカケ科のチョレイマイタケの菌核 多糖成分には免疫賦活作用を介した抗腫瘍作用が知られている。 |
桃仁
(とうにん) |
バラ科のモモの種子 組織の血液循環を良くする。 |
牡丹皮
(ぼたんぴ) |
ボタン科のボタンの根皮 組織の血液循環を良くする。抗炎症作用と抗酸化作用を持つ。 |
紅花
(こうか) |
キク科のベニバナの管状花を乾燥したもの。 組織の血液循環を良くする。桃仁と併用して効能を強める。 マクロファ−ジ活性化やインタ−フェロン誘起作用など免疫賦活作用も報告されている。 |
当帰
(とうき) |
セリ科のトウキ又はその他近縁植物の根。 血管拡張・血行促進により身体を温める。 多糖体成分に免疫賦活作用・抗腫瘍効果が認められている。 |
赤芍
(せきしゃく) |
ボタン科のシャクヤク又はその他近縁植物の根を皮を付けたま乾燥したもの。 末梢血管拡張・血流量増加促進・血小板凝集抑制・抗炎症・鎮痛などの薬効がある。 |
欝金
(うこん) |
ショウガ科のウコンの根茎 肝機能を高める効果がある。芳香性健胃薬としても使用される。
含有するクルクミンおよびその類縁物質には、抗炎症作用・抗酸化作用などの薬効が報告されており、がん予防効果が指摘されている。ゆううつ・抑うつ・いらいらなどの情緒不安定などの症状を安定させる効果がある。 |
マンゴスチン
果皮
(マンゴスチンかひ) |
マンゴスチンはマレー半島を原産地とするオトギリソウ科樹木で、その果実の皮(果皮)は東南アジア地域では古くから民間薬として、感染症、皮膚疾患、消化器疾患、炎症性疾患など多くの病気の治療に利用されている。 殺菌作用、解熱作用、抗炎症作用、抗酸化作用、滋養強壮作用などの薬効があり、これらの効果は、マンゴスチン果皮に多く含まれるキサントンと言う成分の薬理作用と考えられている。 キサントンはポリフェノールの一種で、マンゴスチンからは20種類以上のキサントンが見つかっている。キサントンは他に類をみないほど強力な抗酸化作用をもっており、さらに、抗菌・殺菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2阻害作用)、がん予防作用、抗腫瘍作用などが報告されている。 米国ではキサントンを多く含むマンゴスチン果皮エキスがサプリメントとして販売され、がん、動脈硬化やアルツハイマー病、アレルギー疾患など多くの疾患の予防や治療に利用されている。 |
白花蛇舌草
(びゃっかじゃ
ぜつそう) |
アカネ科のフタバムグラの根を含む全草。 細網内皮系細胞の増殖刺激や白血球・マクロファージなどの食細胞の機能を著しく高め、その作用が抗炎症作用や抗腫瘍効果と関連している。 各種の腫瘍に広範に使用され、特に消化管の腫瘍に対しては比較的よい治療効果がある。扁桃腺炎・気管支炎・咽喉炎・虫垂炎などの感染性疾患にも有効。 |
生姜
(しょうきょう) |
ショウガ科のショウガの根茎 食欲を増進し、消化機能を高め、吐き気を緩和する作用があるため多くの処方に大棗や甘草とともに配合される。 辛み成分のジンゲロールやショウガオールには抗炎症作用やがん予防効果が報告されている。 |
陳皮
(ちんぴ) |
ミカン科ウンシュウミカン又はその他近縁植物の成熟した果皮 胃液分泌や腸管運動を促進し、食欲を増進し吐き気を止める。他薬の吸収を補助して腹にもたれさせないので、多くの方剤に補助薬として広く用いられる。 フラボノイド類を豊富に含み、抗炎症・抗アレルギー・血行改善にも働く。抗腫瘍効果が報告されており、発がん予防や再発予防にも効果が期待される。 |
大棗
(たいそう) |
クロウメモドキ科のナツメまたはその他同属植物の果実 胃腸虚弱な人の食欲不振・元気がない・疲れやすいなどの症状に、補気薬の補助として用いる。刺激性の強い峻烈な作用を持つ薬物に配合して、薬効を緩和する。 |
甘草
(かんぞう) |
マメ科のウラルカンゾウの根。 主成分はトリテルペノイド配糖体のグリチルリチンで非常に強い甘味があり、ステロイドホルモン様作用・抗アレルギー作用・抗消化性潰瘍作用・免疫賦活作用・抗腫瘍作用・抗変異原抑制作用・抗ウイルス作用など多彩な作用を持っている。 他の薬の薬性を調和させ、薬効が過剰にならないように緩和させ、副作用の軽減を図る目的や、味をよくする矯味薬として使用される。 |