COX-2阻害剤は肝臓がんを縮小させる効果がある
肝臓がんに対するCOX-2阻害剤celecoxib(セレブレックス)の抗腫瘍効果
出典:Antitumoral Effect of Celecoxib in Hepatocellular Carcinoma
Journal of Clinical Oncology, Vol 23, No 21 (July 20), 2005: pp. 4805-4806
進行した肝臓がんに、COX-2阻害剤のセレブレックスが効いた症例の報告です。症例は76歳の男性で、肝硬変に合併した肝臓がん(高分化型腺癌)に対して肝左葉切除が行われました。20ヵ月後に再発し、ラジオ波による治療で再発した腫瘍を除去しました。さらに1年後に肝臓内に多発性の腫瘍が再発し、リンパ節転移も見られました。この時点で局所治療は困難となり、gemcitabineやoxaliplatinを用いた抗癌剤治療が実施されましたが、全く効果は見られませんでした。
そこで、celecoxib(セレブレックス)200mgを1日2回投与したところ、肝臓がんの腫瘍マーカーであるAFPは9700 ng/mlから150 ng/mlに著明に低下し、CT検査でも肝臓内の腫瘍やリンパ節転移の腫瘍が75~100%の率で縮小し、腫瘍組織の壊死を認めました。患者はその後未分化型肺がんを併発して呼吸不全で亡くなり、その時のAFPは300 ng/mlでした。
肝臓がんはCOX-2活性が高く、COX-2活性は血管新生を促進し腫瘍の増大に関与していると考えられています。
特に高分化型肝臓がんでは、正常細胞や肝硬変の肝細胞よりもCOX-2の発現が亢進しているという報告があります。COX-2阻害剤には肝臓癌の発生を予防する効果も報告されています。
この症例報告のように、抗癌剤が効かなかった肝臓がんでもcelecoxib(セレブレックス)だけで腫瘍が縮小する可能性もあるようです。
進行した肝臓がんにサリドマイドが有効であることが報告されていますので、サリドマイドとセレブレックスの併用は、進行した肝臓がんに対して、試してみる価値のある治療法だと言えます。
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