ドコサヘキサエン酸とcelecoxibの併用は、前立腺がん細胞の増殖を抑える 

A combination of docosahexaenoic acid and celecoxib prevents prostate cancer cell growth in vitro and is associated with modulation of nuclear factor-kappaB, and steroid hormone receptors. (ドコサヘキサエン酸(DHA)とcelecoxibの併用は、 転写因子NF-κBとホルモン受容体の活性に影響して、 前立腺癌細胞の増殖を抑える)Int J Oncol. 26(3):785-92. 2005
Narayanan NK, Narayanan BA, Reddy BS.
Department of Environmental Medicine, New York University School of Medicine, Tuxedo, NY 10987, USA.

疫学的データによれば、飽和脂肪酸や動物性の脂肪を多く摂取している人は前立腺癌にかかるリスクが高く、魚の油に含まれるω3不飽和脂肪酸の豊富な食事の人は前立腺癌の発生リスクが低いとこが示されています。
一方、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の活性を阻害すると前立腺癌の発生を予防できることも多くの基礎研究で示されていますが、celecoxibのようなCOX-2阻害剤を長期間に渡って多く服用していると、副作用も問題になってきます。
この論文では、前立腺癌に対するcelecoxibとDHAの抑制効果は相乗的であり、低用量のcelecoxibとDHAを組み合わせると、より効果的に前立腺癌細胞の増殖を抑えることができることを報告しています。

実験では、3種類の培養した前立腺癌細胞を用い、celecoxibとDHAの作用を検討しています。celecoxibとDHAは、単独で48時間処理すると、5マイクロMの濃度で前立腺癌細胞の増殖を抑制し細胞死(アポトーシス)を誘導しました。がん細胞に対する抑制効果はcelecoxibとDHAをそれぞれ2.5マイクロMの濃度で一緒に投与した時が最も高い効果が得られました。
これらの結果から、前立腺癌の予防に治療においては、celecoxibとDHAの2種類を併用すると、それぞれを単独で使用する場合よりも効果が高く、また、それぞれ低用量で有効なため、副作用も軽減できるメリットがあることが示唆されました。

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