ザクロジュースは前立腺がんの増殖を抑える 

ザクロジュースが前立腺がんの予防や治療に有効であることを示唆する研究は以前から数多く報告されています。前立腺がんを予防するサプリメントとしてザクロエキスも利用されています。ヒトの前立腺がんに対するザクロの有効性を示す報告も発表されるようになってきました。

Phase II study of pomegranate juice for men with rising prostate-specific antigen following surgery or radiation for prostate cancer.(手術あるいは放射線治療後にPSAが上昇している前立腺癌患者に対するザクロジュースの効果に関するフェース2臨床試験)Clin Cancer Res. 12:4018-4026. 2006

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デービッド・ゲッフェン医学部泌尿器科のグループからの報告です。
ザクロジュースが前立腺がんに対して、発生を予防したり、増殖を抑える効果があることは多くの研究で報告されています。この研究では、前立腺がんの治療として手術や放射線治療を受けたあと、前立腺がんの腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)が上昇している患者における、ザクロジュース飲用の効果をフェース2臨床試験として検討しています。

手術あるいは放射線治療を受けた前立腺がん患者で、治療後PSAが上昇傾向にあり、その値が0.2~5 ng/mlで、Gleasonスコアーが7以下の比較的おとなしい前立腺がんの患者で検討されています。
被験者はがんが進行するまで(効果が出なくなるまで)ザクロジュースを1日8オンス(約240ml)を毎日服用しました。この量は総ポリフェノール量がgallic acid換算で570mgに相当します。
問題になるような副作用は認められませんでした。
PSAが倍に上昇する期間は、治療前は15ヶ月でしたが、ザクロジュース服用後は54ヶ月に延長しました。
患者血清を培養した前立腺がん細胞に添加した場合、ザクロジュース服用前と比べて、服用後の血清を添加すると、がん細胞の増殖は12%減少し、細胞死(アポトーシス)は17%増えました。
また、血清中の抗酸化力はジュースを服用することによって強化されていました。
以上の結果から、ザクロジュースを飲用すると、前立腺がん細胞の増殖を抑え、細胞死が起こりやすくなり、血液の抗酸化力が上がることが明らかになり、臨床試験で有効性を検討する価値があることが示唆されました。

現時点では、人間の前立腺がんに対する臨床効果が十分に証明されたわけではありませんが、ザクロジュースあるいはザクロエキスのサプリメントは前立腺がん患者が試してみる価値はあるようです。