がんの診断と治療法は大きく進歩していますが、がんの転移ががん死のもっとも大きな要因になっています。がんの転移や再発のリスクをより精度よく把握することががん治療に求められています。
再発のリスクが低いことが判れば、術後抗がん剤治療などの無用な治療を避けることができます。手術後に血中循環がん細胞が検出されなければ、術後の抗がん剤治療を受けずに経過をみるという方針も可能です。手術後6ヶ月おきくらいに血中循環がん細胞の検査を受けて、検出されるようになった段階で、抗がん剤治療を受けるという方針も論理的に納得のいく治療方針になります。
手術前後にCTCが検出されれば、再発のリスクが高いので、手術後に抗がん剤などの積極的に治療を受ける心構えができます。
血中循環がん細胞(CTC)が見つかっても、すべてが転移・再発するわけではありません。体に備わった免疫力や治癒力によって、がん細胞の増殖が抑えられ、休眠状態でじっとしている場合も多いことが知られています。
したがって、血中循環がん細胞(CTC)が見つかった場合には、より積極的に再発予防の治療を行なえば、転移したがん細胞を休眠状態に維持して再発を予防することも可能です。
がん治療後の再発予防は、再発リスクの程度によって手段を考慮します。
早期のがんで再発リスクが低いときには、食事や生活習慣の改善や、がん体質を変える漢方治療で十分です。がん細胞の性状やがんの進行状態から再発するリスクが高いと考えられるときは、術後補助療法として抗がん剤治療が行なわれますが、それ以外にも、代替医療として、血管新生阻害剤やシクロオキシゲナーゼ-2阻害剤や、抗がん作用のある漢方薬やサプリメントなどの利用も有効です。
このような再発予防の手段を考慮する場合にCTC検査は役立ちます。
漢方治療で再発予防を行なうときも、CTC検査の結果は、処方を考える上で役立ちます。
血中循環がん細胞(CTC)が認められるときは、がん細胞増殖抑制作用や血管新生作用や抗炎症作用など抗がん作用を強化した処方を使用することによって再発率を低下させることが可能です。
CTCの半減時間は1〜2.4時間と推定され、その多くはアポトーシスで死んでいることが報告されています。CTCが見つかっても半分くらいの患者さんでは5年以上も転移が見つからないという報告もあります。
これは、血中を循環しているがん細胞のほとんどは死んでしまうという事実と、転移が確立しても長い期間、休眠状態で増殖しない場合があるからです。
CTCが見つかっても、免疫力や治癒力を高める効果や、血管新生阻害作用や抗がん作用のある医薬品や漢方薬やサプリメントを積極的に利用すれば、血中のがん細胞を死滅させたり、転移巣のがん細胞を休眠状態にして、転移や再発をかなり防ぐことができます。