東京銀座クリニック
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○ ヒドロキシクロロキンはマラリアや全身性エリテマトーデスの治療に使用されている

クロロキン(chloroquine)はマラリアの治療もしくは予防のために1940年代から用いられています。クロロキンの側鎖末端にヒドロキシル基(-OH)が付加したのがヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine)です。

がんの統合医療とは:生体防御力の向上
図:ヒドロキシクロロキンはクロロキンの側鎖末端にヒドロキシル基(-OH)が付加している。

ヒドロキシクロロキンの薬物動態はクロロキンと同様ですが、消化管からの吸収がより速やかで腎臓からの排泄も速く、クロロキンより毒性が低いので、ヒドロキシクロロキンの方が主に使用されています。
シトクロムP450酵素(CYP 2D6、2C8、3A4、3A5)で代謝されます。
WHO必須医薬品モデル・リストに収載されている薬です。

ヒドロキシクロロキン硫酸塩(Hydroxychloroquine sulfate)は、マラリア、皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデスの治療薬として世界中で広く使用されています。 現在ではクロロキンに耐性を持つマラリア原虫が出現しているため、マラリア治療にはクロロキンやヒドロキシクロロキを単独で用いることはあまりなく、他の薬剤と併用されています。
日本では2015年に全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬として承認されていますが、米国では1955年に承認され、現在では欧州諸国を含む70カ国以上で、全身性エリテマトーデスの標準的治療薬として広く使用されています。 関節リュウマチや皮膚筋炎などの他の自己免疫疾患の治療にも使用されています。
ヒドロキシクロロキン硫酸塩(商品名:プラケニル)は免疫調節薬に分類されており、免疫系を抑制することによって自己免疫疾患の活動性を抑制します。全身性エリテマトーデスでステロイドと免疫抑制薬を使用している場合、ヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラケニル)を加えることによってステロイドをより減量しやすくなります。

○ ヒドロキシクロロキンはオートファジーを阻害する

近年、ヒドロキシクロロキンががん治療で注目されています。
その理由は、ヒドロキシクロロキンは細胞内のタンパク質を分解するオートファジー(autophagy)を阻害する作用があるためです。
オートファジー阻害薬はがん治療薬として開発が行われていますが、ヒドロキシクロロキンは現時点でFDA(米国食品医薬品局)が承認している医薬品の中でオートファジ阻害作用が証明されている唯一の医薬品です。
オートファジー阻害作用は、がん細胞の細胞死を誘導し、抗がん剤感受性を高めます

オートファジーは細胞内タンパクや小器官を二重の脂質膜で包み込み,これをリソソームに輸送し分解する一連のプロセスです(下図)。
オートファジーの仕組みを解明した大隅良典・東京工業大栄誉教授は2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

がんの統合医療とは:生体防御力の向上

図:細胞質に隔離膜と呼ばれる扁平な小胞が現れ、異常なタンパク質や細胞内小器官を取り込む(@)。その後、膜は細胞質を取り込みながら伸長し(A)、先端どうしが融合して、オートファゴソームが形成される(B)。 オートファゴソーム内にはミトコンドリアなどの大きなオルガネラも含まれる。オートファゴソームがリソソームと融合すると(C)、内包物は分解される(D)。自己消化で得られたアミノ酸は栄養源として再利用される。 。

オートファジーは細胞内の異常タンパク質を分解してリサイクル(再利用)するシステムです。 抗がん剤などでダメージを受けた細胞内小器官や異常タンパク質を分解して細胞のストレス負荷(小胞体ストレス)し、同時に栄養枯渇した状態において、細胞内のタンパク質やエネルギーを産生するための物質を得るために分解した栄養素をリサイクルすることによって生存を維持します。
したがって、抗がん治療にオートファジー阻害剤を併用すると、小胞体ストレスの亢進と、栄養飢餓が亢進して細胞が死滅しやすくなって、抗がん剤の効き目を高めることができます。

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図:リボソームで合成されたタンパク質は小胞体で折り畳みや翻訳語修飾を受けて正常な機能を持ったタンパク質になる(@)。抗がん剤治療は小胞体にダメージを与え(A)、小胞体ストレスを引き起こし(B)、小胞体内で折畳み不全の異常タンパク質が増える(C)。異常タンパク質はオートファゴソームに取り込まれ(D)、リソゾームと癒合してオートファジーのメカニズムで分解され、小胞体ストレスを軽減する(E)。ヒドロキシクロロキンはオートファジーの過程を阻害する(F)。したがって、抗がん剤治療とヒドロキシクロロキンを併用すると、小胞体ストレスが亢進し、小胞体内に異常タンパク質が凝集して蓄積し(G)、細胞機能が阻害されて細胞死が誘導される(H)。

○ ヒドロキシクロロキンは抗がん剤の効き目を高める

がん細胞に抗がん剤を投与すると細胞死を逃れる一つのメカニズムとしてオートファジーを亢進します。オートファジーの亢進は抗がん剤によるダメージからがん細胞を保護する働きをします
したがって、オートファジーを阻害する作用のあるヒドロキシクロロキンを併用すると、がん細胞が死滅しやすくなり、抗がん剤の効き目を高めることができます。
以下のような報告があります。

The clinical value of using chloroquine or hydroxychloroquine as autophagy inhibitors in the treatment of cancers:A systematic review and meta-analysis(がんの治療におけるオートファジー阻害剤としてのクロロキンまたはヒドロキシクロロキンを使用することの臨床的価値:系統的レビューとメタ分析)Medicine (Baltimore). 2018 Nov; 97(46): e12912.

【要旨】
背景:オートファジーは、異常なタンパク質や細胞内小器官の除去とリサイクルを行うリソソームを使った細胞内のメカニズムである。オートファジーの異常ががんを含む様々な疾患の発症に関連していることが多くの研究で明らかになっている。
がん治療におけるオートファジー阻害剤の使用が検討されているが、オートファジー阻害剤の有効性については議論の余地がある。そこで、オートファジー阻害剤を使ったがん治療の臨床的価値を評価することを目的として、メタ分析を行った。

方法:オートファジー阻害剤を使ったがん治療を評価する臨床研究を検索した。これらの研究からデータを抽出して、全奏効率、6か月間の無増悪生存率、および1年全生存率率の相対リスク(RR)を評価した。

結果:7件の臨床試験が確認された(n = 293)。ヒドロキシクロロキン+ゲムシタビンの併用が2件、ヒドロキシクロロキン+ドキソルビシンの併用が1件、クロロキン+放射線の併用が1件、クロロキン+テモゾロミド+放射線の組み合わせが1件、およびヒドロキシクロロキンの単独療法が1件であった。
オートファジー阻害剤を併用しなかった場合に比べて、オートファジー阻害剤を併用したがん治療では、全奏功率(RR:1.33、95%信頼区間:0.95–1.86、P = .009)、6か月間の無増悪生存率(RR:1.72、95%信頼区間:1.05–2.82、P = .000 )、1年間の全生存率(RR:1.39、95%信頼区間:1.11–1.75、P = .000)はいずれも高かった。

結論:このメタ分析の結果は、化学療法や放射線療法においてオートファジー阻害剤の併用が治療効果を高めることを示しており、オートファジー阻害剤の併用はがん治療に新しい戦略を提供する可能性がある。

以上から、オートファジーを阻害するヒドロキシクロロキンの併用は、化学療法薬の有効性を改善することが期待できます。

 

進行がんの治療では、通常は1日200mg〜400mgを服用します。
副作用がなければ、1日600mgから800mgに増量する場合もあります。

ヒドロキシクロロキン硫酸塩:1錠200mgが100円(税込み)

ヒドロキシクロロキンに関するご質問やご購入に関してはメール(info@f-gtc.or.jp)か電話(03-5550-3552)かファックス(03-3541-7577)でお問合せ下さい。

 
 
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