東京銀座クリニック
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○ 若返りは可能か

私たちは加齢とともに体力や内臓の機能の衰えを自覚しますが、これは「老化現象だから仕方ない」とあきらめてしまいます。
一般に、「老化を止める」ことも「若返り」も生物学的には不可能だと考えられています。 せいぜい老化を遅らせる程度で、時間を逆戻りさせることは不可能と考えられてきました。

しかし、老化を逆戻りさせて寿命を延長できる可能性を示唆する研究成果が複数報告されています
例えば、2 匹のマウスの脇腹の皮膚を縫い合わせる並体結合(parabiosis)という手法を用いて、若い個体と老齢個体を並体結合し、両者の血液を一緒に循環させて1ヶ月ほどすると、老齢個体が若返りの兆候を示すことが報告されています。
老化によって低下していた骨格筋の筋力が増加し、神経幹細胞の増殖能を促進されて認知機能が良くなり、心臓や肝臓や膵臓などの臓器機能が改善することが認められています。 逆に若いマウスは老化の徴候が進行することが示されています。
これは、加齢とともに老化を促進する「老化因子」が次第に増加し,体を若い状態に維持する「若返り因子」が加齢とともに減少することが老化の原因である可能性を示唆します。

がんの統合医療とは:生体防御力の向上
図:高齢マウスと若いマウスの脇腹の皮膚を縫い合わせる並体結合によって両者の血液循環を共有させると、高齢マウスの老化因子によって若いマウスの老化の徴候が促進される(@)。一方、高齢マウスは若いマウスの若返り因子によって老化の徴候が減少する。

○ 補酵素は体内の化学反応を活性化する

私たちの体内では、生きていくために様々な化学反応が起こっています。 食事からの栄養を分解してエネルギーを産生し、細胞分裂で細胞を増やす際には細胞を構成するタンパク質や脂質やDNAを新たに合成する必要があります。
代謝(metabolism)とは、生命の維持のために細胞が行う一連の化学反応で、異化(catabolisim)同化(anabolism)の2つに大別されます。
異化は食物から取り入れた有機物質を分解することによってエネルギーを得る過程です。同化はこの逆で、エネルギーを使って、蛋白質や核酸や脂肪酸など細胞の構成成分を合成する過程です。

このような体内での化学反応は酵素というタンパク質が行います。酵素(enzyme)は、生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子です。 酵素は多くの種類があり、その数は約2000種類と言われています。個々の酵素が、それぞれ特別な物質にだけ作用する性質があり、これを酵素の特異性と呼んでいます。
酵母がブドウ糖(グルコース)を分解してアルコールを産生する反応(アルコール発酵)では、12種類の化学反応が見られ、それぞれの化学反応には別々の酵素がかかわっています。
解糖(glycolysis)では10種類の酵素が作用して1分子のグルコースから2分子のピルビン酸に分解されます。「glyco」は「糖」、「lysis」は「分ける」という意味で、解糖(glycolysis)は1分子のグルコースを2分子のピルビン酸に分けるという意味です。 解糖では1分子のグルコース当たり、2分子のNAD+をNADHに変換し、2分子のATPが生成されます。
1分子のピルビン酸からピルビン酸デカルボキシラーゼによって1分子の二酸化炭素が取り除かれ、アセトアルデヒドが作られます。 アセトアルデヒドは還元型NADHの電子によって速やかに還元されてエタノール(C2H5OH)となります。この反応はアルコール脱水素酵素が触媒します。
アルコール発酵の12の化学反応には12種類の酵素が必要というわけで、これらの酵素はすべて純粋なタンパク質として酵母の中に入っています。

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図:1分子のグルコース(C6H12O6)が解糖系で2分子のピルビン酸(C3H4O3)に分解され(@)、この間に2分子のATPが産生される(A)。解糖系では脱水素酵素の働きで水素原子が外され、外された水素原子は水素イオンと電子に分かれ、補酵素であるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)と結合し、NADH + H+ になる(B)。ピルビン酸に脱炭酸酵素が働き、二酸化炭素(CO2)が取り去られ、アセトアルデヒド(C2H4O)になる(C)。アセトアルデヒドはNADH + H+の水素と結合して(D)エタノール(C2H5OH)に変化する(E)。つまり、アルコール発酵では1分子のグルコースから2分子のエタノールと2分子の二酸化炭素ができ、2分子のATPが産生される。

多くの酵素の中にはタンパク質のみで活性を発現するものもありますが、活性発現にはある種の低分子の有機化合物を必要とするものもあります。 このように酵素作用の発現に必須の低分子有機化合物を補酵素(Coenzyme;コエンザイム)と呼びます。
上述のアルコール発酵では、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が補酵素です。

補酵素の多くはビタミンから生体内で作られています。特にビタミンB群やナイアシンは生体内でさまざまな酵素の活性発現に必要な補酵素として機能します。
ビタミンB群やナイアシンの欠乏は補酵素の欠乏を引き起こして、これらの補酵素が必要な各酵素の活性が低下し、生命活動の低下が起こります。
NAD+
(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
はナイアシンというビタミンから体内で合成されます。NAD+は解糖系だけでなく、ミトコンドリアでのエネルギー産生反応にも必要は因子です。 NAD+レベルは加齢とともに低下し、加齢に関連する疾患の発症に重要な役割を担っていることが明らかになっています。
NAD+の細胞内レベルを上昇させる方法は、動物モデルで老化を遅らせ、筋肉機能を回復させ、脳での神経再生を促進し、代謝性疾患を改善することが示されています。

○ ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD) は補酵素として多くの酵素反応に関与する

ニコチン酸ニコチン酸アミド(ニコチンアミド)は総称してナイアシン (Niacin) 、あるいはビタミンB3とも言います。水溶性ビタミンのビタミンB複合体の一つで、糖質や脂質やタンパク質の代謝に不可欠です。

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ナイアシンは電子伝達体のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD) ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP) に変換され、酸化還元反応 (電子が供与体分子から受容体分子に転移する反応) に関与する酵素の補酵素として機能しています。

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脱水素酵素ではNAD+を補酵素とし、NAD+が水素の受け取り手となっています。
NAD+の構造の中で酸化還元反応に関与しているのはニコチンアミドの部分です。酸化型のNAD+が水素と電子を受け取って還元型のNADHになります。

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図;NAD+が水素(H+)と電子(e-)を受け取ってNADHになる(@)。NAD+は還元型基質から水素を受け取り(A)、その基質を酸化し、還元型のNADHとH+を生成する(B)。NADH+H+は、他の物質の還元に使われる(C)。


NAD+は、全ての真核生物と多くの古細菌、真正細菌で用いられる電子伝達体です。さまざまな脱水素酵素の補酵素として機能し、酸化型( NAD+) および還元型 (NADH) の2つの状態を取ります。
NAD+は生物のおもな酸化還元反応の多くにおいて必須成分(補酵素)であり、好気呼吸(酸化的リン酸化)の中心的な役割を担っています。
前述のアルコール発酵では、解糖系で還元されたNADH(還元型ニコチンアミドジヌクレオチド)を酸化型のNAD+に戻すために、アルコール脱水素酵素でアセトアルデヒドをエタノールに変換することによって反応を持続できます。NAD+が無いとアルコール発酵は起こらないことになります。

○ NADはDNA修復に必要

NADはADP-リボシル化反応にも関与しています。
ADPリボシル化(ADP-ribosylation)は細胞内で起こるタンパク質の翻訳後修飾の一つで、1つまたはそれ以上のアデノシン二リン酸(ADP)リボースを付加する反応です。このADPリボースはNAD+から供給されます。この反応は細胞間の情報伝達やDNA修復、アポトーシスなど多くの細胞機能に関わっています。
ADPリボース化反応はADPリボシルトランスフェラーゼという酵素によって触媒され、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)からタンパク質のアミノ酸残基にADPリボースを転移させます。

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図:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)からADPリボシルトランスフェラーゼという酵素によってタンパク質にADPリボースを転移させる反応をタンパク質のADPリボシル化という。

タンパク質に多数のADPリボースを結合する反応をポリ-ADP-リボシル化と言います。
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)は細胞内に多く存在するタンパク質で、核DNAに生じた一本鎖切断端を認識してDNAに結合します。
核DNAに結合したPARPは活性化され、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を基質としてPARP自身やヒストンやDNA修復関連タンパク質に複数のADP-リボースを付加し、ポリ-ADP-リボシル化を引き起こします。
このポリ-ADPリボシル化はDNA修復するシグナルとなります。通常、ポリ-ADP-リボシル化はDNA修復反応を活性化しますが、過度のPARPの活性化はNAD+とATPの枯渇、さらにミトコンドリアに局在するアポトーシス誘導因子(AIF)の切断を誘導します。
切断されて細胞質に放出されたAIFはミトコンドリアに局在していたエンドヌクレアーゼGとともに核に移行し,核DNAの断片化を引き起こし,細胞死を誘導します。

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NAD+はサーチュインを活性化する

NAD+は、古くから酸化還元反応の補酵素として知られていますが、前述のポリADPリボースポリメラーゼ(poly(ADP ribose)polymerases:PARPs)サーチュインの基質としての役割が知られるようになりました.
特に、サーチュインによるNAD+からニコチンアミド(nicotinamide:NAM)への分解反応は、それと共役するサーチュインによるリシン残基脱アセチル化反応を促進することで、健康や長寿に関わるさまざまな生命現象に関与していることが注目されています。
サーチュイン(サーチュインファミリー)は食物不足(飢餓状態)の時に活性化される遺伝子群で、NAD依存性脱アセチル化酵素です。哺乳類では七つのサーチュイン(SIRT1〜7)が存在し、SIRT1、 6、7は核内、SIRT3、4、5はミトコンドリア、SIRT2は細胞質に局在します。

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図:サーチュインはNAD+/NADHの比率の変動を感知することによって、細胞内の栄養素の供給状況や物質代謝の状況を把握している。栄養素、特に糖が減少すると、NAD+が増え、サーチュインが活性化する。細胞質や核に存在するSIRT1やミトコンドリアに存在するSIRT3など7種類が知られている。サーチュインはタンパク質の脱アセチル化(アセチル基を除去する)によって様々な転写因子や酵素などの活性を調整することによって、細胞周期、代謝、抗酸化システム、オートファジーなどの細胞機能に影響する。その結果、細胞老化や発がんを抑制し、寿命を延長する効果を発揮する。

栄養素、特に糖が減少すると、NAD+が増え、サーチュインが活性化します。
サーチュインはNAD+/NADHの比率の変動を感知することによって、細胞内の栄養素の供給状況や物質代謝の状況を把握しているのです。
サーチュインはタンパク質の脱アセチル化(アセチル基を除去する)によって様々な酵素の活性を調整することによって、細胞周期、代謝、抗酸化システム、オートファジーなどの細胞機能の制御に関与しています。
老化とともにミトコンドリア新生が低下します。特にエネルギー消費の多い筋肉、脳、心臓などでミトコンドリアの機能や新生が低下します。
カロリー制限や運動やレスベラトロールのような食品成分がミトコンドリア機能を維持するメカニズムとして、NAD+とサーチュインが重要と考えられています。

カロリー制限(栄養不良を伴わない低カロリー食事療法)で、霊長類を含む多岐にわたる生物種において老化を遅延させ、寿命を延長させることが知られていますが、このカロリー制限のときに活性化されて寿命延長と抗老化作用に関与するのがサーチュイン遺伝子です。
サーチュイン1はPGC-1αを脱アセチル化することによって活性化します。活性化したPGC-1αはミトコンドリア新生を亢進します。
サーチュイン1はAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)PPAP(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)によって活性化されます。さらに絶食時に発現が亢進するFGF21というホルモンによっても活性化されます。

○ 加齢とともにNADは減少する

老化は、がん、糖尿病、心血管疾患などの成人病やアルツハイマー病、パーキンソン病などの神経疾患の危険因子の一つです。
各臓器,組織の恒常性は,それぞれの組織の幹細胞によって維持されています。組織幹細胞の多くは老化によりその機能が低下することが示されており、老化関連疾患の原因となっています。
サーチュインの活性化は、カロリー制限における寿命延長や健康増進に関わる効果の多くを説明すると考えられています。
近年,老化および老化関連疾患は,ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide:NAD+)量低下,およびNAD+依存性脱アセチル化酵素サーチュインの活性低下と密接な関わりを持つことが示されています

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図:加齢とともに組織のタンパク質重量当たりのNAD+は減少する。NAD+の減少が、老化に伴う臓器や組織の機能低下の原因となっている。

老化に伴いNAD+量およびサーチュイン活性が低下しますが、ニコチンアミドモノヌクレオチド(nicotinamide mononucleotide:NMN)ニコチンアミドリボシド(nicotinamide riboside:NR)などのNAD+中間代謝産物の補充がサーチュインを効果的に再活性化することが明らかになっています。

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図:ニコチンアミド・リボシド(nicotinamide riboside:NR)とニコチンアミド・モノヌクレオチド(nicotinamide mononucleotide:NMN)はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide:NAD+)の前駆物質で、NMNをサプリメントとして摂取すると体内のNAD+を増やすことができる。

ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide:NAD+)は老化とともに減少し、これが老化に伴う諸臓器機能の低下の主な原因になっています。
アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患の治療にも効果が期待できます。
NAD+の前駆物質である ニコチンアミド・リボシド(nicotinamide riboside:NR)β-ニコチンアミド・モノヌクレオチド(nicotinamide mononucleotide:NMN)をサプリメントとして摂取すると体内のNAD+を増やすことができます。

当院ではニコチンアミド・リボシド(NR)β-ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)を神経難病や様々な老化性疾患の治療に使用しています。
病気の状況に応じて1日に500mgから2000mg程度を服用します。

ニコチンアミド・リボシド(NR):20,000円 / 50g(税込み)
β-ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN):30,000円 / 50g(税込み)

当院で使用しているβ-ニコチンアミド・モノヌクレオチドは中国製です。
純度は99%以上で、重金属の検査もパスしています。
 Certificate of Analysisはこちらへ
 米国カリフォルニアのMicro Quality Lab, Inc.の検査証明書はこちらへ

ニコチンアミド・リボシドも同じメーカーの製品です。

NRとNMNに関するご質問やご購入に関してはメール(info@f-gtc.or.jp)か電話(03-5550-3552)かファックス(03-3541-7577)でお問合せ下さい。

 

 
 
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