東京銀座クリニック
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○ プテロスチルベンは植物が合成する抗菌物質(ファイトアレキシン)の一つ

植物は、外敵(病原菌など)や過酷な外的環境(紫外線や熱や重金属など)に打ち勝つために、様々な生体防御物質を合成しています。
植物体に病原菌や寄生菌が侵入したときに植物細胞が合成する抗菌性物質をファイトアレキシン(phytoalexin)と言います。 刺激を受けて合成を開始しますが、すでに持っている物質を活性化することもあります。
多くの化合物が知られていますが、ブドウやブルーベリーなどに含まれるレスベラトロール(Resveratrol)もファイトアレキシンの一つです。
プテロスチルベン(Pterostilbene)はレスベラトロールの類縁体で、レスベラトロールの2つの水酸基(OH)がメトキシ基(CH3O-)に置換した構造です。
プテロスチルベンはレスベラトロールと同様にブドウやブルーベリーなどに含まれます。

がんの統合医療とは:生体防御力の向上
図:プテロスチルベンはレスベラトロールの2個の水酸基(OH)がメトキシ基(CH3O-)に置換している。

○ スチルベノイドは様々な薬効を持つ

スチルベン (stilbene) とは、芳香族の炭化水素の1種の有機化合物です。
スチルベノイド(Stilbenoid)はスチルベンのヒドロキシル化誘導体です。
スチルベノイドは、さまざまな植物種に見られる天然に存在するフェノール化合物のグループで、それらはスチルベンという共通の骨格構造を共有していますが、置換基の性質と位置が異なり、その構造の違いによって化合物としての性状や薬理作用が異なります。
前述のように、スチルベノイドは病原菌や寄生菌が侵入したときに植物細胞が合成する抗菌性物質(ファイトアレキシン)です。

がんの統合医療とは:生体防御力の向上

図:スチルベンに水酸基(OH)やメトキシ基(CH3O-)の側鎖がついて様々な種類のスチルベノイドが合成される。

スチルベノイドは、心筋細胞や神経細胞の保護、抗糖尿病作用、脱メラニン色素作用、抗炎症作用、がん予防や抗がん作用に至るまで、さまざまな生物学的活性を発揮します。
レスベラトロールは、最も広く研究されているスチルベノイドです。
スチルベンは、フラボノイドと同様にフェニルプロパノイド経路を介して植物で合成されます。
レスベラトロールは水への溶解度が低く(<0.05 mg / mL)、消化管粘膜からの吸収率が極めて低いという欠点があります。体内で急速に代謝され、半減期が非常に短いため、経口した場合のバイオアベイラビリティ(生体利用率)が極めて低いという欠点があります。

一方、プテロスチルベンは80%程度のバイオアベイラビリティを示すことが報告されています。 プテロスチルベン構造に2つのメトキシ基が存在することで、プテロスチルベンはより親油性になり、したがってより生物学的に利用可能になります。
プテロスチルベンは、グルクロン酸抱合または硫酸化に利用できる遊離ヒドロキシル基が1つしかないため、代謝的にも安定しています。 実際、ヒト肝ミクロソームで行われた酵素動態グルクロン酸抱合アッセイは、レスベラトロールがプテロスチルベンと比較してグルクロン酸抱合によってより効率的に代謝されることが示されています。
つまり、プテロスチルベンはレスベラトロールより消化管からの吸収がよく、グルクロン酸抱合や硫酸抱合による不活性化を受けにくいので、生物学的利用能が高いことを意味します。 ステルベノイドは以下のような様々な薬効が報告されています。

1)神経細胞保護作用:脳におけるアミロイド班の減少、脳梗塞の抑制、神経組織における活性酸素種の産生抑制、コリンエステラーゼ活性の阻害

2)心筋細胞保護・心肥大改善:AMP活性化プロテインキナーゼの活性化、eNOSの発現亢進と活性化

3)動脈硬化の抑制:酸化ストレスと炎症(TNF-α、IL-1β)の抑制、血管内皮細胞におけるLDLの酸化阻止

4)糖尿病の改善:インスリン感受性の亢進、グルコース取込み亢進、活性酸素種の産生抑制、AMPK依存性ミトコンドリア新生の亢進

5)虚血・再還流障害の抑制:抗酸化酵素(SOD活性)の亢進、酸化ストレス軽減、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β)の産生抑制

6)血小板凝集抑制:シクロオキシゲナーゼ活性の阻害

7)がん治療とがん予防:種々のがん細胞株に対する増殖抑制、アポトーシス誘導、血管新生阻害

8)肥満の抑制:脂肪合成の抑制。脂肪分解促進、AMPKとサーチュインとPGC-1αの活性化

9)皮膚の美白:メラニン産生抑制、チロシナーゼ活性の阻害

(参考:Biological Activities of Stilbenoids. Int J Mol Sci. 2018 Mar; 19(3): 792. )

○ プテロスチルベンは生体利用率が高い

経口投与によるレスベラトロールのバイオアベイラビリティ(生体利用率)は極めて低い(数パーセントのレベル)のが問題でした。レスベラトロールは小腸と肝臓で、フェースII解毒酵素によってグルクロン酸抱合硫酸抱合による代謝を受けるので、活性型は全身循環には極めて少量しか移行しないためです。
そのため、レスベラトロールには抗酸化作用、抗炎症作用、抗老化作用、抗がん作用など様々な薬効が基礎実験で示されていましたが、臨床的効果は疑問視されていました。 リポソーム封入やナノカプセル化など、レスベラトロールの分解や代謝を阻止して生体利用率を高める方法が開発されていますが、人体でのレスベラトロールの有効性を保証できる製剤はまだ利用できる段階ではありません。

そのような状況で、レスベラトロールに比べてバイオアベイラビリティ(生体利用率)が極めて高く、レスベラトロール以上に生理活性を有するプテロスチルベンが注目されています。
以下のような報告があります。

Pterostilbene Suppresses both Cancer Cells and Cancer Stem-Like Cells in Cervical Cancer with Superior Bioavailability to Resveratrol.(プテロスチルベンは、レスベラトロールに比べて優れたバイオアベイラビリティで子宮頸がんのがん細胞とがん幹様細胞の両方を抑制する)Molecules. 2020 Jan 6;25(1):228.
【要旨の抜粋】
がん幹細胞が子宮頸がんを含む多くの腫瘍の治療抵抗性、再発、および転移に重要な役割を果たすことが報告されている。
レスベラトロールのジメチル化誘導体であるプテロスチルベン(Pterostilbene)は、潜在的な発がん予防活性を持つ植物ポリフェノール化合物である。 しかし、子宮頸がんのがん幹細胞に対するプテロスチルベンの治療効果は不明である。
この研究では、HeLa子宮頸がん細胞株の接着細胞(通常のがん細胞)とがん幹細胞様細胞の両方を使用して、レスベラトロールとプテロスチルベンの抗がん作用を比較した。
プテロスチルベンは、レスベラトロールと比較してHeLa接着細胞の成長およびクローン原性生存、ならびに転移能力をより強く阻害した
さらに、レスベラトロールと比較したプテロスチルベンの優れた抗腫瘍効果は、SおよびG2 / M期での細胞周期停止、活性酸素種を介したカスパーゼ依存性アポトーシスの誘導、およびマトリックスメタロプロテイナーゼの発現阻害において認められた。
特に、プテロスチルベンは、レスベラトロールと比較して、HeLaがん幹様細胞の腫瘍塊形成能と遊走能に大きな抑制効果を示した。
このより大きな抗腫瘍効果は、CD133、Oct4、Sox2、Nanogなどの幹細胞性マーカーの発現レベルのより強力な阻害、ならびにSTAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)シグナル伝達の阻害によって達成された。
これらの結果は、プテロスチルベンが、レスベラトロールと比べて優れたバイオアベイラビリティを介して、子宮頸がんのがん細胞とがん幹様細胞の両方を標的とする潜在的な抗がん剤である可能性を示唆している。

薬物の体内利用率をバイオアベイラビリティ(bioavailability)と言います。
薬を服用しても、消化管からの吸収が悪かったり、分解が早くて血中から早く消失するような場合は、バイオアベイラビリティが低いと言います。 経口によるバイオアベイラビリティの低い薬は、その薬を内服しても、ほとんど効果が期待できないことになります。

植物やハーブや薬草からがん治療薬を見つけようと言う研究は多くあります。 培養細胞や動物実験で、レスベラトロールクルクミンエピガロカテキンガレートケルセチンなどが多くの実験系で抗腫瘍効果が認められています。 しかし、これらの成分を用いた動物実験は注射での投与が多く、内服ではほとんど消化管から吸収されないという問題があります。
つまり、注射で投与して薬効が認められても、内服(経口投与)で効果が見られない場合が多いのです。 その点、プテロスチルベンは経口での生体利用率が高いので、内服薬として高い有効性が期待できるということです

進行がんの治療では、通常は1日250mg〜500mgを服用します。
副作用がなければ、1日750mgから1000mgに増量する場合もあります。

プテロスチルベン:250mg / 60カプセルが6000円(税込み)

プテロスチルベンに関するご質問やご購入に関してはメール(info@f-gtc.or.jp)か電話(03-5550-3552)かファックス(03-3541-7577)でお問合せ下さい。

○ プテロスチルベンの抗老化・寿命延長作用についてはこちらへ

○ プテロスチルベンのJAK/STAT3シグナル伝達系とPI3K/AKTシグナル伝達系の阻害作用についてはこちらへ

○ プテロスチルベンのテロメラーゼ阻害作用とc-Myc阻害剤との相乗効果についてはこちらへ:

 

 
 
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