東京銀座クリニック
 
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コイクシン

抗がん作用が報告されているWTTCという処方に含まれる藤瘤(フジコブ)・訶子(カシ)・菱の実(ヒシノミ)・よく苡仁(ヨクイニン)に、沢瀉(タク シャ)を加えた5つの生薬のエキスからなる生薬製剤です。認可されている効能は「いぼとり・利尿」ですが、いぼ以外の腫瘍(がん)にも効果が期待できます。

製造販売元:
剤盛堂薬品株式会社

コイクシン
  • 本剤3包(4.5g)中
    ヨクイニン (8.18g), ヒシノミ (8.18g), フジコブ (8.18g), カシ (1.64g), タクシャ (1.64g)から抽出したエキス0.41gを含む。
    添加物としてバレイショデンプンを含む。
  • 本剤は灰色で特異なにおいを有し、味はわずかに塩辛く酸味のある散剤です。
  • 成人:1日3包服用
  • 効能:いぼとり、利尿
    WTTCの処方に利尿作用のあるタクシャを加え、解毒機能を高めています。いぼ以外の腫瘍にも抗がん作用が期待できます。
  • 1箱(60包):12000円(税込み)/1包200円でのバラでの処方も可

【WTTCとは】

WTTC(ダブリュティーティーシー)は、藤瘤(ふじこぶ・とうりゅう)、訶子(かし)、菱実(ひしのみ・りょうじつ)、よく苡仁(よくいにん)の4種類の生薬を組み合わせた生薬製剤で、各10〜15gを一緒に煎じて用います。
厳密に言えば漢方薬ではなく民間薬あるいは家伝薬の一種であり、古くから横須賀市の薬局で胃腸薬として使用されていたのが、昭和30年代に千葉大学医学部の外科(中山恒明教授)で手術不能の患者がこの煎じ薬で延命効果があったとして評価され、この千葉大学での研究のときにWTTCという名称が使われています(後述)。WTTCという名は、藤 (Wisteria floribunda)・ミロバラン(Terminalia chebula)・菱 (Trapa bispinosa)・はとむぎ(Coix lachryma-jobi)の植物学名(ラテン名)の頭文字をつないだものです。WTTCの4種類の生薬の起源や薬効は以下の表にまとめています。
藤瘤 (ふじこぶ・とうりゅう)
本州、四国、九州の山地に自生する日本特産のマメ科のつる性落葉低木のノダフジ(Wisteria floribunda)の老木の樹皮にできる瘤(こぶ)を使う。藤瘤は、虫に食われたところが異常に細胞分裂してふくれあがってしまう一種の植物のがんのようなものと言われており、新しいものには青みがあり、割ると中に小さな幼虫がいる。昔から藤瘤はがんに効くと言われており、がんの民間療法として古くから用いられている。含有成分のイソフラボノイドや多糖成分などに発がん抑制作用があると言われている。
訶子 (かし)
インド・ビルマの原産で、中国やチベットなどで植栽されているシクンシ科の落葉高木、ミロバラン(Terminalia chebula)の果実を用いる。訶梨勒 (カリロク)ともよばれている。ミロバランの樹高は20〜30mに達し、果実は3〜4cmで卵形をし、中に大きな核がある。成分としてはタンニン、ケブリン酸、エラグ酸などが含まれている。訶子はタンニンの含有量が多く(20〜40%)、皮なめしに用いるタンニンの原料として使用されている。
タンニンには収斂作用・止瀉作用・鎮痙作用があり、煎液には強い抗菌・抗ウイルス作用がある。漢方では慢性の咳や下痢や嗄声(声がれ)に対して常用される。その他、止血作用や抗炎症作用があり、消化管出血(血便)・子宮の炎症や出血(性器出血・帯下)・遺精・頻尿などにも用いられる。
本来はインド伝統医学のアーユルヴェーダ医学の主要な薬物であったが、中国には仏教ともに伝来し、収斂・固渋薬として中医学や漢方医学で使用されている。日本では正倉院御物の一つでもある。
菱実 (りょうじつ・ひしのみ)
日本や東アジアに広く分布し、池や沼に自生するヒシ科の一年草、ヒシ(Trapa bispinosa)の果実を用いる。種子はゆでたり、焼いたりして食用にもされる。デンプン、タンニンのトラパインや植物ステロイドなどの成分が知られている。民間療法として滋養強壮・止痛・解毒などの目的に使われている。殻のついた菱実を砕いて、煎じて服用すると胃がんに効果があると言われ、古くからがんの民間療法として使用されている。
よく苡仁(よくいにん)
東南アジア原産のイネ科の一年草、ハトムギ(よく苡:Coix lachryma-jobi)の種子。薬材には鞘を除いて軽く精製した白いものを用いる。栄養価に富んでおり、東南アジアや中国では食用としても用いられている。
水イボやイボに有効であることが経験的に知られており、イボとりの薬として広く使用されている。また、肌をきれいにする効果があり、ニキビ治療や美容の目的でハトムギ茶やヨクイニンを配合した石けんや化粧品が販売されている。漢方では、利水・去風湿・健脾・清熱・排膿の効果があり、浮腫・関節痛・筋肉痛・下痢・化膿性疾患などに使用される。でんぷん・蛋白質・脂質の他、カンペステロール、スティグマステロール、コイキセライドなどが含まれている。コイキセライド(coixenolide)は脂肪酸のエステルで、抗腫瘍作用が確認されており、中国では注射薬としてがん治療に使われている。
図:フジ(Wisteria floribunda)の木にできる瘤(藤瘤:ふじこぶ)、ミロバラン(Terminalia chebula)の果実(訶子:かし)、ヒシ(Trapa bispinosa)の果実(菱実:りょうじつ・ひしのみ)、ハトムギ(よく苡:Coix lachryma-jobi)の種子(よく苡仁:よくいにん)の4種類を組み合わせた民間薬が、進行した胃がんや食道がんに効果があることが報告されている。この処方は、4つの植物の学名の頭文字をとってWTTCと名付けられている。

【外科医「中山恒明」とがんの民間薬WTTC】

漢方治療によって進行がんが自然退縮した」という臨床報告や、「がん細胞の増殖が抑えられて延命効果がみられた」「症状が改善して生活の質(QOL)が良くなった」というような医師の経験談は古くから数多く報告されています。
進行した胃がんや食道がんに、WTTCという日本の民間薬が有効であることを、約50年も前に、国際的に著明な外科医の中山恒明先生が報告しています。
中山恒明先生(1910年生〜2005年没)は、昭和22年に37歳の若さで千葉大学医学部第2外科の教授になり、その後、東京女子医大教授、東京女子医大消化器病センター所長などを歴任された外科医です。世界に先駆けて食道がんの手術法を確立したのをはじめ消化器外科で数多くの業績を残し、昭和39年に国際外科学会の「世紀の外科医賞」を受賞した国際的に有名な医師です。昭和57年に勲一等瑞宝章を授与されています。(右の写真は中山恒明教授)
山崎豊子作の小説『白い巨塔』の主人公の財前助教授は中山恒明教授がモデルとも言われています。
食道がんや胃がんの名医として国際的に知られた中山先生が、手術不能の食道がんや胃がんに民間薬を使った研究を行い、その有効性について述べています。その内容は、日本医師会雑誌第41巻12号(昭和34年6月10日発行)に掲載されています。日本医師会雑誌のこの号は臨時増刊号で、当時の日本におけるがんの専門家が名を連ねて特集記事として発行されています。
その中で、「がん化学療法の関するパネルディスカッション」があり、千葉大学医学部外科の中山恒明教授が「漢方薬療法の経験」と題して4頁半のスペースを占める長い発言を行ない、根治手術不能の胃がんや食道がんの患者に対して民間薬である藤瘤(フジの木の瘤)・訶子(ミロバランの果実)・菱実(ヒシの実)・よく苡仁(ハトムギ)の各10gづつを組み合わせた煎じ薬(WTTCと命名)を服用させると、症状の改善と延命効果があったと発表しています。この中山教授の発言の要点を以下に紹介します。
(中山恒明教授の発言内容の抜粋)
「3年ばかり前に,噴門がん(胃がん)の患者の手術を行った。開腹したが、がんが腹膜に播種していたのでがんの切除はできず、病理診断のためにがん組織を一部採取しただけで腹を閉じた。
本人には『がんを全部切除したから再発することは無い』とウソの説明をしたが、がんの進行状況から余命は3ヶ月程度を思っていたので、家族には『3ヶ月くらいで死ぬだろう』と説明していた。
ところが、1年半くらいたってその患者がピンピンして私の所に挨拶に来た。『先生が言った通りだ。先生は手術がうまい。再発なんかしない。飯もだんだん食えるようになった』と言った。私は『こういうばかなことはない』と思った。採取した組織の病理検査でがんであることは確かで、胼胝性潰瘍とか他の良性疾患ではない。これは食べ物のせいか環境のせいか、そういう特殊なことがあるのかと思って患者にたずねてみると、『帰ってから近所の者にすすめられて漢方薬を飲んだ。あれを今でも飲んでいる。非常に工合がいい』と言うことであった。
費用がかからないで患者を延命させる治療法というのも一つの研究テーマであり、漢方薬は思ったより安いので、患者に『おい買って来い』というと、薬と思っていないから、すぐ買ってくる。そこで、最近2年くらいの間に根治手術ができなかったがん患者168例ほどに、この漢方薬を服用させて効果を検討してみた。この研究に使った漢方薬はフジ(Wisteria floribunda)の木にできる瘤(藤瘤:ふじこぶ)、ミロバラン(Terminalia chebula)の果実(訶子:かし)、ヒシ(Trapa bispinosa)の果実(菱実:りょうじつ・ひしのみ)、ハトムギ(Coix lachryma-jobi)の種子(よく苡仁:よくいにん)の4種類をそれぞれ10gづつを一緒にして煎じたもので、これらの植物の学名(ラテン名)の頭文字をつないで、WTTCと名付けている。ヒシの実だとかハトムギなんて言うと患者が馬鹿にするが、WTTCと言うと『ドイツから来たいい薬かなあ』と思うかもしれない、人間相手の場合は、こういうことも必要だと考えている。
WTTCを服用させた168例は、手術不能のものや試験開腹のものが47例、がんの切除ができずバイパス手術を行ったものが36例、その他が根治度の低い手術を行ったもので、この中でWTTCを3ヶ月間以上服用できたものが36例で、その長期服用によって有効と認めたものが30例あった。副作用はほとんど無く、胃切除の患者に下痢が1例に認められただけであった。このWTTCを根治手術不能の胃がんや食道がんに飲ませると、だいたい20%くらいの患者が非常に良く効いたと言っている。食欲が出る、通じが良くなる、腹水のあるものは腹水が減るという症状の改善も多くみられた。
このような進行がんは、7割くらいは120日くらいで死亡するが、WTTCを服用した患者はそれより延命した患者数が断然増えている。転移のあるがん患者について調べてみた結果から、WTTCを投与したグループはかなり延命効果があることが明らかになり、私自身もWTTCを用いて、なかなか良い効果があると実感している。
WTTCの抗がん成分についても培養がん細胞を使って研究した(その結果に関する記述はここでは省略します)
(最後の部分)温故知新ということもありますから、漢方薬を内服的に飲ませるのも一つの方法ではないか。がん細胞だけをやっつけるというような作用以外に、ふじの瘤やヒシの実やハトムギなどいろいろのものが入っているものの中に、何かもっと総合的な意味で、食欲を増すとか、元気にするとか、抵抗力を増すとか、何かもっと総合的な作用があるような気がする。」

今から50年も前に、胃がんや食道がんの手術では世界的な名医としてがん治療に携わっていた中山恒明教授が、進行がんにおける漢方治療の有用性を指摘し、漢方薬の抗がん作用に関する研究を行っていたことには驚きます。科学的で論理的な考え方で多くのがん患者の治療を行ってきた中山恒明教授が、自分の体験をもとに、「手術ができないような進行がんの治療法の一つとして、漢方治療は症状の改善や延命効果が期待できる」という意見を述べている点が重要です。

この発表の後も、進行がん患者におけるWTTCの検討が引き続き行われています。その後の研究報告では、食道がんと胃がんの合計572例を対象にして、このうち230例にWTTCを服用させ、残りの342例を対照として比較しています。
WTTCを服用したグループ230例中49例(21.8%)で有効と判定され、食欲が増進したもの35例、体重が増えたもの23例、腹痛が消失したものが12例あり、副作用はほとんど認めなかったと報告されています。
食道がんで手術後の再発率は、WTTCを服用した16例では31%、服用しなかった47例では64%でした。胃がんでは、WTTCを服用したグループの再発率は20%で、服用しなかったグループの再発率は37%でした。つまり、胃がんや食道がんの手術後にWTTCを服用すると再発を予防できる効果が認められています

西洋医学専門の医師は、漢方薬の抗がん作用やがん治療における有用性について懐疑的ですが、その理由の一つは、漢方薬ががんに効くわけが無いという先入観があり、実際にその効果を自分で確かめていないからです。漢方薬の効果を否定する医師の多くは、自分で確かめないで、先入観だけで漢方薬が効かないという意見を述べているのが実情です。中山恒明教授は実際に進行がんに漢方薬を使ってみて、その効果を実感したというコメントを述べている点は、がん治療において漢方薬が本当に有効であることを示していると思います。

このWTTCという処方は胃がんや食道がんだけでなく、他の臓器のがんに対しても有効であった症例が報告されています。手遅れで手術もできず抗がん剤も効かなくなった進行がんで、WTTCを服用して症状が改善し延命した症例(卵巣がんや大腸がんなど)が、緒方玄芳著の『漢方症例選集』などに記載されています。これらの報告によると、WTTCは食欲を高め、浮腫や腹水を改善し、熱や炎症を抑え、便通が良くなるなどの症状改善効果が認められ、延命効果もあるようです。
WTTCをベースにして、さらに免疫力を高める生薬や抗がん作用のある生薬などを組み合わせた漢方薬をがん治療に使っている報告もあります。

WTTCの処方を元にしたエキス顆粒製剤が販売されています。現在は本物の藤瘤の入手が困難なので、本物のWTTCの煎じ薬を作成することはできませんが、「フジの木」の刻みが流通しているので、藤瘤の代わりにフジの木を使う方法もあります。藤瘤はフジの木にできる瘤ですが、同様に、白樺にできるチャーガ(かばのあなたけ)やヤドリギ(生薬名は桑寄生)、ブナやカシなどに寄生するサルノコシカケ科のキノコの梅寄生(ばいきせい)などを代わりに使ってみるのも同じ効果(あるいはより高い効果)があるかもしれません。
訶子 (かし)・菱実(ひしのみ)・よく苡仁(よくいにん)にチャーガや霊芝などのキノコ系の生薬、白花蛇舌草や半枝蓮や竜葵などの抗がん生薬を組み合わせたような処方は試してみる価値がありそうです。

WTTCを応用した煎じ薬をご希望の方はメール(info@1ginzaclinic.com)か電話(03-5550-3552)でお問い合わせ下さい。
費用の目安は1ヶ月分が約2万円程度です。

 
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