東京銀座クリニック
 
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高濃度ビタミンC点滴とアルテミシニン誘導体を併用したがん治療

高濃度ビタミンCアルテミシニン誘導体はともに副作用の少ないがん代替医療として行われています。この2つの治療法は活性酸素を利用してがん細胞を選択的に殺す作用機序が共通しています。したがって、両者を併用することによって相乗効果が期待できることが示唆されます。点滴で投与したビタミンCは短時間で体外に排出されるため、がん細胞を殺す作用時間が短いのが欠点です。アルテミシニン誘導体製剤を毎日内服することによって、抗がん作用を持続させることができます。

【高濃度ビタミンCはがん細胞の近くで過酸化水素を発生してがん細胞を殺す】

ビタミンC(アスコルビン酸)は抗酸化性ビタミンとして知られており、生体内で発生した活性酸素やフリーラジカルに電子を与えて、活性酸素やフリーラジカルを消去する作用が知られています。酸化というのは、相手の物質から電子を奪い取ることで、酸化剤というのは物質から電子を奪い取る性質の高い物質のことです。ビタミンCが抗酸化剤と言われるのは、活性酸素やフリーラジカルに電子を与えて、これらの活性酸素やフリーラジカルを安定化させるからです。
最近になって、米国を中心に、ビタミンCを50グラム以上(場合によっては100g以上)の大量を点滴で投与すると、がん細胞を殺す効果があることが報告されています。
がん細胞を培養している培養液に数mg/mlに達する高濃度のビタミンCを添加するとがん細胞が死ぬのに対して、この濃度では正常細胞はダメージを受けないことが報告されています。
このような高濃度の場合、ビタミンCはがん組織において過酸化水素を発生してがん細胞を直接殺す作用があると推測されています。つまり、抗酸化剤ではなく、その逆の活性酸素を出すという作用によって抗がん作用を発揮すると考えられています。
体内では常に活性酸素のスーパーオキシドが発生していますが、これは抗酸化酵素の働きでスーパーオキシド → 過酸化水素 → ヒドロキシラジカルを経て水になります。
ビタミンCを大量に投与するとがん細胞の周囲で過酸化水素が大量に発生するという研究報告があります。正常細胞では過酸化水素を酸素と水に変えるカタラーゼがあるので障害を受けにくいのに対して、がん細胞ではカタラーゼの活性が低下しているので、過酸化水素によるダメージを受けてがん細胞を選択的に殺す効果があると推測されています。
がん細胞を殺すだけの大量の過酸化水素を発生させるために、ビタミンCの血中濃度を高める必要があり、数十グラムの大量のビタミンCを点滴で投与する必要があります。


【アルテミシニン誘導体はがん細胞内でフリーラジカルを産生してがん細胞を殺す】

アルテミシニン(Artemisinin)は、中国で古くからマラリアの治療に用いられてきた青蒿(セイコウ)という生薬に含まれている成分です。青蒿はartemisia annuaというキク科ヨモギ属の植物です。アルテミシニンとその誘導体のアルテスネイト(Artesunate)アルテメーター(Artemether)はマラリアの特効薬として世界中で使われています。
がん細胞はトランスフェリンレセプターを介したメカニズムで鉄を多く取り込んでいますがん細胞内には鉄イオンが多く含まれ、アルテミシニンやアルテスネイトは鉄イオンと反応してフリーラジカルを発生するため、がん細胞が選択的に障害を受けることになるのです。正常細胞は鉄をあまり含んでいませんのでがん細胞に比較的特異的に細胞障害作用を示します。また、アルテミシン誘導体には血管新生阻害作用も報告されています。


【高濃度ビタミンCとアルテミシニン誘導体製剤の相乗効果】

増殖の速いがん細胞は細胞内に鉄を多く取り込んでいます。細胞の表面にあるトランスフェリン受容体が鉄を細胞内に取り込む際に働きます。一般にがん細胞の表面にはトランスフェリン受容体の量が多く鉄を多く取り込むのが特徴です。
ビタミンCと鉄およびトランスフェリン受容体の関連については、相反する考えがあります。
一般的にビタミンCは鉄などの遷移金属と反応すると過酸化水素を大量に発生するのですが、高濃度ビタミンC点滴における過酸化水素の発生には鉄は関与していないという報告があります。
トランスフェリン受容体に関しても異なる研究結果が報告されています。
Neuroblastomaやmelanomaを使った実験では、がん細胞のトランスフェリンレセプターの量を減らし、がん細胞内の鉄を枯渇させることによってアポトーシスを誘導する可能性が報告されています。
鉄は細胞が分裂するために必要なミネラルで、がん細胞では鉄の取り込みを行うトランスフェリンレセプターの発現が増えていて、鉄を多く含むことが知られています。
この研究では、脳腫瘍の一種のニューロブラストーマを培養している培養液にビタミンCを添加すると、がん細胞のトランスフェリンレセプターの量が減少することを報告しています。
【Cell Physiol 2005, 204(1):192-197./Molecular Cancer 2007, 6:55】
一方、胃がん細胞を使った研究では、高濃度ビタミンCは胃がん細胞のトランスフェリン受容体の量を増やして鉄の取り込みを増やし、がん細胞を殺す作用機序が報告されています。
【Cancer Lett. 2008 Dec 22, [Epub ahead of print]】

以上のように、高濃度ビタミンCの抗がん作用に関しては、複雑や作用機序が関与し、それはがん細胞の種類によって違う可能性があります。
しかし、がん細胞では細胞表面のトランスフェリン受容体を多く、鉄の取り込みが増えている点が、その抗腫瘍効果の発現に関与していることが示唆されています。
アルテミシンやアルテスネイトも、その抗がん作用のターゲットは、がん細胞に多く含まれる鉄ですので、高濃度ビタミンC点滴療法との相乗効果が期待できます
すなわち、ビタミンCでがん細胞の鉄が枯渇する場合には、そのがん細胞は増殖できないので問題ありません。ビタミンCガがん細胞内の鉄の取り込みを増やす場合には、アルテミシニンやアルテスネイトは、がん細胞を殺す活性が高まります。
ビタミンCは水溶性で短時間で尿中に排出されるため、その抗腫瘍効果が長続きしないのが欠点です。そのため週に2〜3回の点滴が必要です。アルテミシニンやアルテスネイトは内服薬ですので、毎日服用することによって、抗腫瘍効果を維持できます。


【高濃度ビタミンC点滴療法の方法と費用】

ビタミンCは米国製の防腐剤無添加の点滴用ビタミンCを使用します。
500ccの輸液剤に25〜75gのビタミンCを加えて、60〜90分かけて点滴します。
進行がんの治療では、1回50〜75gで週2回を基準にしています。がんの進行状況や体調によってビタミンCの量や回数を変えています。

費用:(診察料、手技料、消費税込みの1回分の費用)
ビタミンC25g:10000円
ビタミンC50g:18000円
ビタミンC75g:26000円

アルテミシニン誘導体製剤は2種類あります。
マラリアの薬として中国で使われているアルテスネイト(100mg)か、米国でサプリメントとして販売されている
Artemix(1カプセル中にアルテミシニン誘導体のArtesunate 50 mg, Artemether 40 mg, Artemisinin 50 mgを含む)を使用します。
アルテミシニン誘導体の中では、アルテスネイトが最も抗腫瘍効果が高いので、がんが大きい場合にはアルテスネイト(100mg)を使用します。がんが小さい場合や再発予防の目的では、Artemixを使用します。
両方とも30日分が12000円です。

ご希望の方は当クリニックにメールでお問い合わせ下さい。
メール:info@1ginzaclinic.com

アルテスネイトと高濃度ビタミンC点滴の相乗効果に関する最新情報については以下のブロブもご参照下さい。

漢方がん治療を考える:615)がんの酸化治療とフェロトーシス:アルテスネイトと高濃度ビタミンC点滴の相乗効果

 
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