Artemix:アルテミシニン誘導体含有サプリメント
アルテミシニン(artemisinin)およびその誘導体はマラリアの治療薬として世界中で使われています。近年、このアルテミシニン誘導体が抗がん物質として注目を集めています。
Artemixは米国のサプリメントで1カプセル中にアルテミシニン誘導体のArtesunate 50 mg, Artemether 40 mg, Artemisinin 50 mgを含みます。これらの成分には、がん細胞を直接殺す作用や、腫瘍血管新生阻害作用などが報告されており、がんの代替医療で使用されています。
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30カプセル入りアルテミシニン(Artemisinin)は青蒿(セイコウ:Artemisia annua)というキク科の薬草から分離されました。青蒿という生薬は、中国医学でマラリアなど様々な感染症や炎症性性疾患の治療に古くから使用されていました。
その活性成分がアルテミシニンで、その効果を高めたアルテスネイト(Artesunate)とアルテメーター(Artemether)という2種類の誘導体が合成されています。これらは現在、マラリアの治療薬として世界中で使用されています。
アルテスネイトは水溶性で、抗マラリアや抗がん作用はアルテミシン誘導体の中で最も高いと考えられています。毒性が極めて低いので、副作用がほとんど無いのが特徴です。しかし、体内での半減期が比較的短いという短所もあります。
アルテメーターは脂溶性で、アルテスネトより体内の半減期は長く、血液脳関門を容易に通過するので、脳マラリアや脳腫瘍にも効果があります。しかし、高用量を使用すると神経毒性が現れるという副作用があります。
アルテミシニンは、アルテスネイトとアルテメーターの2つの中間的な半減期をもち、血液脳関門も通過します。
Artemixはこの3種類のアルテミシニン誘導体を含有するので、その相乗効果が期待できます。【アルテミシニン誘導体の抗がん作用】
アルテミシニン誘導体の一種 のArtesunate(アルテスネイト)の構造式は下図の右に示しています。この物質は分子の中に鉄イオンと反応してフリーラジカルを産生するendoperoxide bridge を持っています。
がん細胞はトランスフェリンレセプターを介したメカニズムで鉄を多く取り込んでいます。がん細胞内には鉄イオンが多く含まれ、アルテスネイトは鉄イオンと反応してフリーラジカルを発生するため、がん細胞が選択的に障害を受けることになります。アルテスネイトを投与する前に、鉄を投与してがん細胞内の鉄の量を増やしておくと抗腫瘍効果を増強することができます。
正常細胞は鉄をあまり含んでいませんのでがん細胞に比較的特異的に細胞障害作用を示します。さらに、がん細胞はSODやカタラーゼやグルタチオン・ペルオキシダーゼといった抗酸化酵素の量が正常細胞と比べて非常に少ないので、アルテスネイトによる細胞傷害作用を受けやすくなります。アルテスネイトは様々ながん細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが報告されています。培養細胞や動物を使った実験では、白血病、大腸がん、肺がん、悪性黒色腫、肝臓がん、卵巣がん、骨髄腫、膵臓がんなどに対する抗腫瘍作用が報告されています。
臨床例での有効性を認めた症例報告もあります。例えば、進行した悪性黒色腫に著効した症例報告や、進行した非小細胞性肺がんの抗がん剤治療にアルテスネイトを併用すると抗腫瘍効果が高まることを示したランダム化比較試験の報告などがあります。(詳しくはこちらへ)
抗腫瘍作用のメカニズムに関しては、がん細胞内でフリーラジカルの産生を増やし、酸化ストレスを高めて、がん細胞に細胞死(アポトーシスや壊死)を引き起こすのが基本です。さらに、腫瘍組織の血管新生を阻害する作用、細胞外の結合組織を分解する酵素の活性を阻害することによってがん細胞の転移と浸潤を抑制する作用、トポイソメラーゼIIα阻害作用や細胞内シグナル伝達系に作用してアポトーシスを誘導する作用など、多彩な抗がん作用が報告されています。
アルテミシニン誘導体を用いた治療に関しては、次ぎのサイトを参照して下さい。
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