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がん細胞が抗がん剤や免疫療法に抵抗性を示すメカニズムの一つが「がん組織の酸性化」です。がん組織の酸性化を阻止する「がんのアルカリ療法」はがん細胞の増殖や転移を抑制し、抗がん剤や免疫療法の効き目を高めることができます。
進行がんであっても症状の改善や延命に効果が期待できます。
本書では、重曹（重炭酸ナトリウム）を用いてがん細胞における酸塩基平衡の異常を正常化することによってがん細胞を死滅できる理由と具体的な実践法を紹介しています。
がん治療においては、がん細胞を攻撃する治療だけでなく、がん組織の微小環境をターゲットにした治療も重要であることを多くのがん患者さんに知っていただき、がん治療に役立てていただきたいと願っています。
目次
はじめに：
第１章：がん組織は酸性化している
- 食物を分解してエネルギー（ATP）を作っている
- 有酸素運動はミトコンドリアでATPを産生する
- 細胞レベルでは酸素が無くても生きていける
- がん細胞は酸素を使わない生き物
- がん細胞は乳酸産生が増えている
- がん細胞は大量のプロトン（水素イオン）を産生している
- がん組織は免疫細胞の働きを抑制する微小環境を作っている
- がん細胞内は正常細胞よりもアルカリ性になっている
第２章：がん細胞は低酸素環境で生存している
- 腫瘍組織の微小環境をターゲットにしたがん治療とは
- がん組織は低酸素になりやすい
- 低酸素になると解糖系が亢進し、ミトコンドリアの酸素呼吸が低下する
- がん細胞は低酸素が無くてもHIF-1が恒常的に活性化している
- ワールブルグ効果はがん細胞の生存と増殖を助ける
第３章：酸性化したがん組織では抗がん剤が効きにくい
- がん細胞の外側は酸性化している
- 水素イオン指数（pH）は水素イオン（H+）の逆数の対数
- pHが解離定数と同じ時、解離状態と非解離状態が１：１になる
- 弱塩基性の物質は酸性でイオン型が増える
- イオン化した物質は細胞膜の脂質二重層を通過できない
- 弱塩基性抗がん剤は酸性化したがん細胞外にトラップされる
第４章：重曹はがん組織をアルカリ化する
- 体液の水素イオン濃度は重炭酸緩衝系で調節される
- 重炭酸ナトリウムは食品や医薬品として利用されている
- 重炭酸ナトリウムはがん細胞の転移を抑制する
- 重炭酸ナトリウムは発がん過程を抑制する
- 重炭酸ナトリウムはmTORC1阻害剤の効き目を高める
- がん組織のアルカリ化は免疫療法の効き目を高める
- クエン酸は代謝を活性化し、体液をアルカリにする
- クエン酸ナトリウムは体内で重炭酸イオンを増やす
- クエン酸は様々なメカニズムでの抗腫瘍活性を発揮する
第５章：プロトンポンプ阻害剤はがん細胞内を酸性化する
- がん組織の酸性化に関与するV型ATPアーゼ（V-ATPase）
- プロトンポンプ阻害剤はV型ATPアーゼを阻害する
- プロトンポンプ阻害剤は抗がん剤の効き目を高める
- プロトンポンプ阻害剤は放射線治療の効果を増強する
第６章：炭酸脱水酵素を阻害するとがん細胞内が酸性化する
- 炭酸脱水酵素は重炭酸緩衝系の働きを高める
- 炭酸脱水酵素はがん細胞内をアルカリ化する
- がん細胞内のアルカリ化はワールブルグ効果を促進している
- 炭酸脱水酵素IXの発現の多いがんは予後が悪い
- セレコキシブは炭酸脱水酵素を阻害する
- 人工甘味料のアセスルファム・カリウムは炭酸脱水酵素IXを阻害する
第７章：ジクロロ酢酸ナトリウムはミトコンドリアの酸素呼吸を促進する
- がん細胞はミトコンドリアの働きを抑制している
- ミトコンドリアを活性化にすると乳酸の産生が抑えられる
- がん細胞ではピルビン酸脱水素酵素キナーゼ活性が亢進している
- ジクロロ酢酸ナトリウムはピルビン酸脱水素酵素キナーゼを阻害する
- ジクロロ酢酸ナトリウムはHIF-1の活性を抑制する
- ジクロロ酢酸ナトリウムはプロトンポンプ阻害剤の抗腫瘍効果を増強する
- ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ4は乳がんのホルモン療法抵抗性を亢進する
第８章：がん組織のアルカリ化に役立つその他の方法
- トリス塩基緩衝液はがん組織のアルカリ化が重曹より強い
- 2-デオキシ-D-グルコースはグルコース（ブドウ糖）の誘導体
- 野菜や果物は体をアルカリ化し、肉は酸性化する
第９章：「がんのアルカリ療法」の実践法のまとめ
- 重曹の摂取は運動パフォーマンスを向上する
- 重炭酸ナトリウムはpH緩衝剤として安全に利用できる
- クエン酸の服用法
- ジクロロ酢酸ナトリウムの使用法
- がんのアルカリ療法の効果を高めるそのほかの方法
おわりに：
文献：
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