出版社 : NextPublishing Authors Press
オンデマンド (ペーパーバック) : 204ページ
ISBN-10 : 4802080360
ISBN-13 : 978-4802080361
価格:2200円(消費税込み)
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脳腫瘍で頻度が最も多い膠芽腫(グリオブラストーマ)は治療が極めて困難で、がんの中でも予後が極めて悪い腫瘍です。
標準治療だけでは根治は稀で、診断からの生存期間の中央値は12〜15ヶ月で、2年後の生存率は20〜30%、5年生存率は5%以下です。 この生存率は最新の治療を受けた場合の数値であり、治療成績は20年以上ほとんど改善がありません。がんの代替療法の分野では、非がん治療薬の適用外使用によるがん治療の研究が、近年大きく注目されています。これを医薬品の「転用」や「再利用」と言います。
がん治療以外で使用されている医薬品の中にがん治療に役立つ薬が数多く見つかっています。転用薬を使用したがん治療は、副作用が少なく、しかも多くは安価な費用で実践できます。膠芽腫に有効な再利用医薬品も多数報告されています。
膠芽腫の標準治療はこの20年以上、ほとんど進歩していません。標準治療で限界があれば、補完・代替療法の研究や利用を検討する価値はあります。実際に、標準治療以外の方法も併用すると、膠芽腫でも根治する可能性があることを、私の臨床経験から確信しています。
本書では、膠芽腫の治療がなぜ困難かという理由を解説し、転用薬やサプリメントやケトン食を組み合わせた膠芽腫の代替療法について解説しています。標準治療で匙を投げられた患者さんでも、治る可能性のある治療法がまだあることを知っていただきたいと願っています。目次
はじめに:
第1章:標準治療以外に有効な治療薬が存在する理由
- 特許が取れないと製薬会社は薬にしない
- がん治療薬の他にもがんに効く薬は多数存在する
- 40年以上前の抗がん剤がまだ使われている
- 医薬品の転用(再利用)と適用外使用
第2章:がん細胞は遺伝子変異が蓄積して発生する
- がんは身内の反乱
- 細胞の増殖や死は遺伝子によってコントロールされている
- がん遺伝子とがん抑制遺伝子
- がんは遺伝子変異の蓄積によって発生する
- 幹細胞の遺伝子変異の蓄積ががん細胞を発生させる
- がん細胞は多段階的に発生・増悪する
第3章:膠芽腫は脳室下帯の神経幹細胞が悪性化して発生する
- 膠芽腫は神経膠細胞から発生する
- 膠芽腫は増殖が早く再発しやすい
- 膠芽腫は脳室下帯の神経幹細胞から発生する
- 成人の脳でも神経細胞は新生している
- 再発した膠芽腫に対する確立した治療法はまだない
第4章:抗がん剤や放射線治療が再発を促進する
- 標準治療が膠芽腫の再燃を促進する可能性がある
- ケモカインががん細胞の浸潤性と転移を促進する
- CXCR4/CXCL12シグナル伝達系の活性化が膠芽腫の再発を促進する
- 高用量の抗がん剤や放射線照射はCXCR4/CXCL12シグナル伝達系を活性化する
- ヒドロキシクロロキンはCXCR4の阻害剤
- ミルクシスルのシリマリンはCXCR4を阻害する
- カンナビノイド受容体CB2はケモカイン受容体CXCR4の活性を抑制する
第5章:糖尿病治療薬のメトホルミンは転写因子FoxO3aを活性化してがん幹細胞を死滅する
- AMP活性化プロテインキナーゼはエネルギー低下を感知して活性化される
- 植物に含まれるミトコンドリア毒がAMP活性化プロテインキナーゼを活性化する
- 糖尿病治療薬メトホルミンはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化する
- メトホルミンは様々ながんで抗腫瘍効果を発揮する
- メトホルミンはFoxO3aを活性化して膠芽腫幹細胞の腫瘍形成能を阻害する
- FoxO3aは転写因子
- メトホルミンは塩素イオン・チャネルを阻害して膠芽細胞腫の増殖を抑える
第6章:転写因子FoxO3aを活性化する膠芽腫治療
- IκBキナーゼはFoxO3aを不活性化する
- オーラノフィンはIκBキナーゼを阻害してFoxO3aを活性化する
- メトホルミンとオーラノフィンのFoxO3a活性化を増強する方法
第7章:断酒薬ジスルフィラムはがん幹細胞の抗がん剤耐性を阻止する
- 抗がん剤を使っていると効き目が弱くなる
- アルコール代謝産物のアセトアルデヒドは毒性がある
- がん幹細胞はアルデヒド脱水素酵素の発現が亢進している
- アルデヒド脱水素酵素は抗がん剤耐性を引き起こす
- ジスルフィラムはアルデヒド脱水素酵素を阻害する
- ジスルフィラムはプロテアソームを阻害する
- ジスルフィラムは抗がん剤治療の抗腫瘍効果を高める
第8章:駆虫薬メベンダゾールは多彩な機序で膠芽腫細胞の増殖を抑制する
- メベンダゾールは副作用の少ない駆虫薬
- メベンダゾールは微小管の働きを阻害する
- メベンダゾールは血管新生を阻害する
- メベンダゾールはがん細胞の細胞死を誘導する
- メベンダゾールは膠芽腫細胞の増殖を抑制する
- メベンダゾールはWnt/βカテニンシグナル伝達系を阻害する
- メベンダゾールの使用法
第9章:オートファジー阻害は抗がん剤や放射線治療の効果を高める
- 細胞が栄養飢餓になるとオートファジーが亢進する
- 休眠状態のがん細胞はオートファジーによって生存を維持する
- オートファジーは抗がん剤や放射線によるダメージからがん細胞を保護する
- ヒドロキシクロロキンは全身性エリテマトーデスの治療薬
- ヒドロキシクロロキンはオートファジーを阻害する
- オートファジー阻害は様々な抗がん剤の効き目を高める
第10章:がん細胞の分化を誘導する核内受容体
- 幹細胞から様々な細胞に分化する
- がん細胞は細胞の分化度が低下している
- 遺伝子発現を調節する核内受容体とリガンド
- がん細胞の分化を誘導する転写因子の活性化
- ビタミンAは遺伝子の発現を調節する
- レチノイドは細胞分化を誘導する
- ビタミンD受容体の構造と機能
- 糖や脂質の代謝に関与するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体
- PPARには3つのサブタイプがある
- フェノフィブラートはFoxO3aを活性化して膠芽腫細胞のアポトーシスを誘導する
- イトラコナゾールはオールトランス・レチノイン酸の分化誘導作用を増強する
- 増殖シグナルと生存シグナルの亢進は細胞分化を阻害する
- イベルメクチンは寄生虫疾患治療薬として使用されている
- イベルメクチンはp21活性化キナーゼを阻害する
第11章:ヒストン・アセチル化を促進する代用薬
- ヒストンのアセチル化を促進すると分化誘導療法の効果が高まる
- ヒストンアセチル化は遺伝子発現を亢進する
- がん細胞はヒストン脱アセチル化酵素の活性が亢進している
- ケトン体のβヒドロキシ酪酸はヒストン脱アセチル化酵素を阻害する
- ジクロロ酢酸とメトホルミンはアセチルCoAを増やす
- ジインドリルメタンはヒスト脱アセチル化酵素を阻害する
- オーラノフィンとアセチル-L-カルニチンはヒストンアセチル化を促進する
第12章:血管新生阻害をターゲットにした治療
- がんの増殖には血流が必要
- 膠芽腫ではVEGFに依存しない血管新生が多い
- ケモカインのCXCR4/CXCL12シグナル伝達系が新たな脈管の新生を促進する
- オールトランス・レチノイン酸は膠芽腫細胞の血管模倣を抑制する
- 膠芽腫幹細胞は血管内皮細胞へ分化して血管を形成できる
第13章:がん幹細胞特性に関与するシグナル伝達系を阻害すると膠芽腫は全滅する
- 膠芽腫を根治するためには、がん幹細胞をターゲットにしなければならない
- 膠芽腫ではWnt/βカテニン経路が亢進している
- メベンダゾールはWnt/βカテニンによる遺伝子発現を阻害する
ビタミンD3はWnt/βカテニン経路を抑制する- Notchシグナルは細胞運命決定のスイッチとなる
- Notchを阻害すると膠芽腫のがん幹細胞は死にやすくなる
- レチノイン酸はNotchシグナル経路を阻害して膠芽腫由来の幹様がん細胞の分化を誘導する
- オートファジー阻害はNotch阻害の抗腫瘍効果を増強する
- ヘッジホッグシグナル伝達系はがん幹細胞の自己複製と増殖を制御している
- イトラコナゾールとビタミンD3とメベンダゾールはヘッジホッグ・シグナル伝達系を阻害する
第14章:βヒドロキシ酪酸は膠芽腫細胞を死滅する
- グルコースが枯渇した状況で脂肪酸が燃焼するとケトン体が産生される
- 血液中のケトン体が増えた状態をケトーシスと言う
- ケトン食は絶食療法と同じ効果がある
- ケトン食はてんかんの治療法として開発された
- ケトン食は安全な食事療法
- βヒドロキシ酪酸はミトコンドリアを活性化する
- ケトン食で脳腫瘍が縮小する
- βヒドロキシ酪酸はグルコースとグルタミンの利用を抑制する
- ケトン体は飢餓を生き延びるために進化の過程で獲得した代謝系
- グルコースを摂取しなくても脳の働きに支障はない
- がん治療における中鎖脂肪ケトン食の実施法
第15章:カンナビノイド受容体をターゲットにした膠芽腫治療
- 内因性カンナビノイド・システムは細胞間のコミュニケーション・システムの一つ
- 大麻成分は内因性カンナビノイド・システムに作用する
- 大麻製剤は膠芽腫の標準治療の効果を高める
- カンナビジオールは膠芽腫患者を延命する
- 香辛料や大麻草に含まれる精油成分βカリオフィレンはCB2の選択的アゴニスト
- βカリオフィレンはCB2受容体を介して膠芽腫細胞を死滅する
第16章:膠芽腫(グリオブラストーマ)の補完・代替療法のまとめ
- 医薬品の転用(再利用)による膠芽腫治療法の提案
おわりに:
文献:
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