DHA/EPAとは:
DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)はどちらも魚油に含まれているオメガ3系不飽和脂肪酸の一種です。
DHA・EPA共に、炎症やアレルギーを抑え、コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあり、血栓の形成や動脈硬化やがん細胞の発育を抑える作用があります。
DHAの方が悪玉コレステロールを抑制する働きは強く。逆にEPAの方が中性脂肪を抑制する働きが強い。
また、DHAには知能の働きを促進する作用があるとも言われています。
DHAや魚の摂取する上での注意:
DHAやEPAは過剰に摂取すると、血液が固まる力を弱めるので出血しやすくなる場合があります。血小板が減少しやすい抗がん剤治療中や、出血の危険がある手術の前後などでは過剰な摂取は控えるべきです。
青みの魚は EPAとDHA を多く含みますが、同時に、多くのコレステロールを含み、そのコレステロール含量は牛肉や豚肉に匹敵しています。つまり、魚も多くとれば良いというわけではありません。
高度不飽和脂肪酸は長期保存や加熱処理により酸化しやすく、長期保存により劣化すると過酸化脂質となりがん細胞の発育を促進することにもなります。
また、まぐろやかつおのような大型の魚には水銀汚染などの問題もありますので、品質の良いDHA/EPAをサプリメントとして摂取するのが安全と言えます。
DHAはがん性悪液質を改善し、抗がん剤の治療効果を高める:
DHA/EPAを補充すると、進行がんの体重減少や食欲不振などの悪液質を改善する効果や、抗がん剤の副作用を軽減し抗腫瘍効果を高めることが報告されています。
DHAやEPAといったオメガ3不飽和脂肪酸を多く摂取する食餌療法で、腫瘍が縮小したという症例も報告されています。
DHAはがん以外にも多くの健康作用がある:
がんの予防や治療効果以外にも、DHAには健康増進に関連する多くの効果があります。血液中のコレステロールや中性脂肪を抑えたり、血圧を下げる作用があり、常にDHAを摂取していれば脳卒中や心筋梗塞などの血管が詰まって起きる病気は防ぐことが出来ます。
グリーンランドのイヌイット人は魚を常食するため、血栓症などの血管障害が起こりにくいという疫学調査が発表されていますが、最近のハーバード大学の研究者らによる調査でもそうしたDHAの作用が裏付けられています。
実験は40歳から84歳までの男性医師約2万人を対象に行ないましたが、週に少なくとも1回魚を食べている者は心臓発作などによる突然死が52%低下していることが判明しました。こうした結果を研究者らは魚のω3系の高度不飽和脂肪酸が血流を促し、心臓での凝血を抑制しているものと見ています。
DHAは脳組織に多く存在し、脳の働きに重要な役割を担っています。脳の機能を高める作用から「DHAを取ると頭が良くなる」ともてはやされています。イギリスの栄養学者、マイケル・クロフォードが「日本の子供たちが頭がいいのは魚を常食しているからだ」と述べて魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)の生理作用が一躍脚光を浴びました。
最近の研究ではアルツハイマー病の予防にも効果が期待されています。
その他、アレルギー性疾患の予防や治療にも有効であることが報告されています。