東京銀座クリニック
 
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IP-6 & Inositol (IP-6イノシトール)
ナチュラルキラー細胞を活性化し、がん細胞の増殖を阻止するサプリメント

【イノシトールとIP-6(イノシトール-6-リン酸)とは】

イノシトール(Inositol)は6個の炭素からなるシクロヘキサンの各炭素上の水素原子がヒドロキシ(OH)基に置き換わった構造の物質で、生体内でブドウ糖から生合成され、生体成分として広く存在し、特に穀物の糠(ぬか)や豆に多く含まれています。細胞成長に必要はビタミンB群の一種と考えられており、抗脂肪肝作用が知られています。食品添加物(強化剤)として使用が認められています。
このイノシトールの6個のヒドロキシ(OH)基が全てリン酸化されたのが、イノシトール-6-リン酸です。イノシトール-6-リン酸は別名フィチン酸と呼ばれ、組成式は C6H18O24P6 で、IP-6と略記されます。穀物の糠や種子など多くの植物組織に存在する主要なリンの貯蔵形態です。

ビタミンB群の一種のイノシトール(Inositol)の6個のヒドロキシ(OH)基が全てリン酸化されたのがイノシトル-6-リン酸(Inositol Hexaphosphate)で、フィチン酸とも呼ばれ、IP-6と略記される。

穀物の糠には、イノシトール-6-リン酸(IP-6)がマグネシウムやカルシウムと強く結合(キレート)して存在します。マグネシウムやカルシウムとキレートした状態(フィチン酸のカルシウム・マグネシウム混合塩)をフィチン(Phytin)と言い、水に不溶性です。米ぬかにはフィチンが10%以上含まれています。
米ぬかに多く含まれるフィチンから、マグネシウムやカルシウムなどの金属イオンを除去して精製したIP-6がサプリメントとして使用されています。
キレート(chelate)という言葉は、ギリシャ語の「カニのはさみ」から派生した言葉です。カニのはさみのように物質を挟み込むことを「キレート化する」と言います。
金属と強いキレート作用をもつIP-6は、体内に吸収された有毒な金属を体外に排泄する効果が知られています。例えば、ウラニウムのような放射線物質による放射線被曝の治療法としてIP6の可能性を検討した研究報告があります。のサプリメントが役立つ可能性が検討されています。

IP-6はカルシウムやマグネシウムと結合したフィチンという形態で、穀物の糠や種子に多量に含まれている。IP6は金属とキレートして結合する作用が強く、体内の有毒なミネラルの排泄を促進する効果が知られている。「キレート」とは「カニのはさみ」を意味し、カニが両方のはさみで物質を捕まえる姿がイメージされている。

【IP-6 & Inositolの抗がん作用】

食物繊維の豊富な食事はがん予防効果があることが報告されていますが、その理由の一つは、食物繊維に含まれるIP-6に抗がん活性があるからだと言われています。
IP6は抗酸化作用免疫力増強(ナチュラルキラー細胞活性の増強)金属に対する強いキレート作用によって、がん予防効果や美容や健康増進効果が示唆されています。
IP6はイノシトールとの同時に摂取したほうが効果が吸収されやすく、さらに抗がん作用が強くなるので、IP-6とイノシトールを混ぜたサプリメントががんの予防や治療の目的のサプリメントとして販売されています。
米国のメリーランド大学医学部病理学のシャムスディン教授は、IP-6とイノシトールを一緒に摂取するとその効果が高まること、とくにIP-6とイノシトールが4:1で含まれる商品が最も抗がん活性が高いこと明らかにし、特許を取得しています。
IP-6は穀物やマメ類に豊富に含まれていますが、IP-6をサプリメントとして摂取することは幾つかの利点があります。
まず第一に、穀物やマメ類に含まれるIP-6は、蛋白質やミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)と結合して複合体を形成し、水に不溶性で消化管からの吸収が悪い状態で存在しています。したがって、食物繊維の形で摂取してもIP-6はほとんど体の中に吸収されません。精製したIP-6は、食物繊維中のIP-6より極めて吸収が良いことが多くの研究で明らかになっています。
さらに、IP-6はがん細胞にいち早く取り込まれることが知られています。これはIP-6が抗がん作用を発揮する理由でもあります。動物の発がん実験では、食物繊維を多く与えるとがんの発生が低下することが報告されています。その食物繊維に含まれるのと同じ量のIP-6を与えると、さらにがんの発生を抑制する効果が高まりました。
前述のように食物繊維に含まれるIP-6は生体に利用されにくいので、純粋な形でIP-6を摂取する方が抗がん活性が高いのです。食物繊維の豊富な食事を取ることは大切ですが、それに加えてIP-6をサプリメントとして摂取することは抗がん力を高める上で意義があります。
イノシトールはビタミンB群の一種であり、IP-6の抗がん作用と免疫力増強作用を著明に高めます。イノシトールと適切に組み合わせると、IP-6は体内で2分子のIP-3に変換されることが報告されています。
イノシトールはIP-6の骨格構造であり、リン原子が結合できる炭素原子を6個持っています。これらの6個の炭素原子が全てリン酸エステル化したものがIP-6です。6個の炭素原子のうち3個のみがリン原子と結合したものがIP-3と呼ばれます。IP-6の抗腫瘍活性に関わっているのは実はこのIP-3であると考えられています。
培養癌細胞を持いた研究で、IP-3は癌細胞増殖のon/offを調節するスイッチの役目を果たしていることが明らかになっています。細胞内のIP-3の濃度が低い時には、その細胞はコントロールを失って増殖します。これはがん細胞の特徴です。がん細胞をIP-3の豊富な培養液に入れると増殖を止めます。これは、IP-3が細胞の増殖や細胞間コミュニケーションなどの重要な細胞機能を調節する中心的役割を果たしていることを意味しています。シャムスディン博士は、体内でのIP3が効率的に生成されるために必要なIP-6とイノシトールの比率を4:1で投与した場合がもっとも抗がん活性が高いことを示しています。

【Cell Forte IP-6 & Inositolの商品説明】

Cell Forte IP-6 & Inositolは米ぬか由来の天然成分IP-6(フィチン酸)とイノシトールをシャムスディン教授(米メリーランド大学医学部病理学)がもつ配合特許を元に作られたサプリメントです。
IP-6(フェチン酸)は天然抗酸化剤として利用されており体内においてもDNAを守るなど重要な役割を担っている成分です。活性酸素の害を抑え、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化させて免疫力を高めるなどの働きがあることで注目されています。体内に吸収された放射線物質をキレートして体外に排泄する効果も報告されています。

商品名:Cell Forte IP-6 & Inositol

製造元名称・国名:Nature's Way, USA(アメリカ合衆国)

規格・価格: 120カプセル入り, 6500円

成分表示(2カプセルあたり):
カルシウム 130mg (フィチン酸カルシウムマグネシウム由来)
リン 190mg(フィチン酸カルシウムマグネシウム由来)
マグネシウム 40mg(フィチン酸カルシウムマグネシウム由来)
IP-6 (イノシトール6リン酸) 800mg 
イノシトール 220mg
植物由来カプセル(変性セルロース)、セルロース、ステアリン酸マグネシウム

 

免疫力増強やがん予防の目的には1日4カプセルを目安に、2〜3回に分けて服用します。
がんの治療の補助としては、1日4〜8カプセルが推奨されます。
空腹時に摂取する方が効果が上がります。
(IP6は食事中のミネラルと結合して不溶性の複合体を形成するので、空腹時に服用します)

IP-6イノセルに関するQ & A

●食物繊維の豊富な食物を食べているのに、IP-6をサプリメントとしてとる必要があるのですか?

IP-6は穀物やマメ類に豊富に含まれていますが、IP-6をサプリメントとして摂取することは幾つかの利点があります。

まず第一に、穀物やマメ類に含まれるIP-6は、蛋白質やミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)と結合して複合体を形成し、消化管からの吸収が悪い状態で存在しています。したがって、食物繊維の形で摂取してもIP-6はほとんど体の中に吸収されないのです。精製したIP-6は、食物繊維中のIP-6より極めて吸収が良いことが多くの研究で明らかになっています。

さらに、IP-6はがん細胞にいち早く取り込まれることが知られています。これはIP-6が抗がん作用を発揮する理由でもあります。動物の発がん実験では、食物繊維を多く与えると癌の発生が低下することが報告されています。その食物繊維に含まれるのと同じ量のIP-6を与えると、さらにがんの発生を抑制する効果が高まりました。
前述のように食物繊維に含まれるIP-6は生体に利用されにくいので、純粋な形でIP-6を摂取する方が抗がん活性が高いのです。食物繊維の豊富な食事を取ることは大切ですが、それに加えてIP-6をサプリメントとして摂取することは抗がん力を高める上で意義があります。

●IP-6とイノシトールを組み合わせるのはなぜですか?

この絶妙なコンビネーションはメリーランド大学のシャムスディン(Shamsuddin)博士によって発見されました。イノシトールはビタミンB群の一種であり、IP-6の抗がん作用と免疫力増強作用を著明に高めます。イノシトールと適切に組み合わせると、IP-6は体内で2分子のIP-3に変換されることをシャムスディン博士は発見したのです。

イノシトールはIP-6の骨格構造であり、リン原子が結合できる炭素原子を6個持っています。これらの6個の炭素原子が全てリン酸エステル化したものがIP-6です。6個の炭素原子のうち3個のみがリン原子と結合したものがIP-3と呼ばれます。
IP-6の抗腫瘍活性に関わっているのは実はこのIP-3であるという点が重要です。

培養がん細胞を持いた研究で、IP-3はがん細胞増殖のon/offを調節するスイッチの役目を果たしていることが明らかになっています。細胞内のIP-3の濃度が低い時には、その細胞はコントロールを失って増殖します。これはがん細胞の特徴です。がん細胞をIP-3の豊富な培養液に入れると増殖を止めます。これは、IP-3が細胞の増殖や細胞間コミュニケーションなどの重要な細胞機能を調節する中心的役割を果たしていることを意味しています。

シャムスディン博士は、体内でのIP-3が効率的に生成されるために必要なIP-6とイノシトールの比率を発見したのです。IP-6とイノシトールが4:1で投与した場合がもっとも抗がん活性が高いことが知られています。

●IP-6とイノシトールの組み合せはIP-6単独より効果が高い理由。

IP-6とイノシトールを組み合せると、IP-6単独より抗腫瘍効果が著明に増強されることをシャムスディン博士らは証明しています。この現象は、乳がん、肺がん、大腸がんなどの動物発がん実験で示されています。
例えば、マウスに発がん剤を投与して大腸がんを発生させる実験では、IP-6とイノシトールはそれぞれ単独でもがんの発生率を低下させましたが、両方を組み合わせるとがん予防効果は著明に高まったという研究報告がなされています。

●食物繊維の豊富な食事より精製したIP-6を摂取した方が、抗がん活性が高まるのはなぜですか?

穀物や穀物加工食品(シリアル)の中では、IP-6は蛋白質やミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)と結合して複合体として存在します。IP-6が消化管から吸収されて、体内の組織やがん組織に到達するためには、IP-6はまずこの蛋白やミネラルの複合体から分離されなければなりません。しかし、消化管の中ではIP-6と蛋白質やミネラルとの結合を分解することは困難なのです。
したがって、食物繊維の豊富な食事をしても、抗がん作用の活性本体であるIP-6を十分に吸収することができないのです。精製したIP-6は体の中に吸収されやすいので、抗がん活性がより高いのです。

●IP-6とイノシトールの組み合せは免疫機能にどのような効果をもたらすのですか?

IP-6とイノシトールの組み合わせは、抗酸化作用免疫力増強作用の効果を持つことが報告されています。特に、がん細胞に対する免疫力の中心であるナチュラルキラー(Natural killer)細胞を活性化する作用があります。

ナチュラルキラー(NK)細胞というのは白血球の一種であり、がん細胞やウイルスや多くの感染微生物などを殺す役目を果たすので、このような名前がつけられています。ナチュラルキラー細胞は癌や感染症から体を守る重要な役割を果たしている細胞なのです。

IP-6だけでもNK細胞の活性を高めるのですが、イノシトールと組み合わせることによりその効果をより高めることができるのです。

●どのようながんに効果があるのか?

P-6とイノシトールの組み合せは、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、肝臓がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、横紋筋肉腫など、ほとんど全てのがんおよび肉腫に効果があることが、動物実験などで明らかになっています。

●IP-6とイノシトールを通常のがん治療薬と一緒に使っても問題はないのか?。

全く問題はありません。IP-6とイノシトールは抗癌剤や放射線治療など通常のがん治療と一緒に行っても問題は起こりません。むしろ、IP-6とイノシトールはこれらの通常医療の効果を増強する働きがあります。

●IP-6はどのようにがんと戦うのか?。

抗がん力の基本は、活性酸素の害から体を守る抗酸化力と、がん細胞を除去する免疫力です。IP-6は体の抗酸化力と免疫力を高める効果があります。その他にも様々な特徴的な抗がん作用を持っています。

IP-6は細胞分裂の制御に関わっています。がん細胞は細胞分裂のコントロール(制御)に異常をきたしています。IP-6はがん細胞の増殖(細胞分裂)のスイッチを切る作用をしています。シャムスディン博士らは、DNA合成の速度を低下させることによってがん細胞の増殖を抑えることを報告しています。正常細胞にはそのような阻害作用は示さないので、IP-6は他の抗がん剤とは根本的に異なるのです。

通常の抗がん剤は、がん細胞のみならず正常細胞も傷つけるので多くの副作用を引き起こします。IP-6は正常細胞にダメージを与えずに癌細胞だけを攻撃することが可能です。

●IP-6は放射線被曝にも有効ですか?。

IP-6は抗酸化力と免疫力を高めるので、放射線被曝による発がんを予防します。また、IP-6は体内に吸収されたウラニウムとキレート(結合)して体外に排泄する効果も報告されています。したがって、放射線に被曝した場合にIP-6&Inositolを服用すると、放射線被曝に起因する発がんを予防できます。

●安全性は?

安全性については、動物実験や人間による臨床試験が多く行われています。その結果、IP-6は極めて安全で、大量に摂取した場合でも副作用は報告されていません。

●IP-6とイノシトールの摂取量は?

がん予防の目的には、1日にIP-6を800-1,200 mg とイノシトールを200-300 mgの摂取が必要です。がんがある場合や、発がんのリスクが極めて高い場合には、4800〜7200 mg のIP-6と1200〜 1800 mg のイノシトールを1日の摂取量として推奨されています。
これらは空腹時に摂取する方が効果的です。食事中のミネラルと結合しやすいからです。

文献:

Absorption and excretion of orally administered inositol hexaphosphate (IP(6) or phytate) in humans.(ヒトにおける経口投与されたIP-6の吸収と排泄)
Biofactors 15(1):53-61,2001

7人の健康人のボランテアが、IP-6の少ない食事とIP-6が通常に含まれる食事を食べて、血中のIP-6濃度を測定。IP-6の少ない食事の場合のIP-6の血中濃度は0.07±0.01mg/lで、IP-6が通常に含まれる食事を食べたときの血中のIP-6濃度は0.26±0.03 mg/lであった。
IP-6の少ない食事をとっている時に、IP-6をサプリメントで摂取した場合、血中濃度は4時間後にピークに達した。IP-6の少ない食事をしばらく続けた後に、IP-6が通常に含まれる食事を再開した場合、16日間のうちにIP-6の血中濃度が正常レベルに戻った。
IP-6の血中レベルを正常に戻すのに、食事中からIP-6を摂取すると長期間かかるが、サプリメントとしてIP-6を摂取すると短期間ですむ。

Effects of exogenous inositol hexakisphosphate (InsP(6)) on the levels of InsP(6) and of inositol trisphosphate (InsP(3)) in malignant cells, tissues and biological fluids.
(IP-6投与による癌細胞・組織・体液内のIP-6とIP-3の濃度に対する影響)
Life Sci 71(13):1535-1546, 2002

ラットをIP-6が含まれない食事で飼育すると、脳内のIP-6濃度は3.35±0.57micromol/kgで、血漿内濃度は0.023±0.008micromol/lであった。
食事中のIP-6の量は脳と血中のIP-6レベルに強く影響した。
1%のIP-6を含む食事をラットに与えると、脳内のIP-6濃度は36.8±1.8micromol/kg、血漿中の濃度は0.29±0.02 micromol/lであった。
IP-3の濃度は血漿中は0.033±0.012、脳内が4.21±0.55であり、IP-6はIP-3の8.5倍の濃度であった。IP-6の少ない食事を与えると、脳内と血漿中のIP-6のレベルは90%減少した。しかし、IP-3の濃度は変化が無かった。
培養癌細胞株(MDA-MB 231 and K562)ではIP-6濃度は16.2±9.1micromol/kg(
MDA-MB 231)と15.6±2.7 micromol/kg ( K 562 ) であった。IP-3の濃度は4.8 ±0.5 micromol/kg(MDA-MB 231)と6.9 ± 0.1 micromol/kg
( K 562 ) であり、IP-6の約3分の1であった。
癌細胞の培養液にIP-6を添加すると細胞内のIP-6の濃度は変わらずに、IP-3濃度は2倍に増加した。(9.5 ±1.3 と10.8 ±1.0 micromol/kg)
体外からIP-6を投与すると、血漿内と脳内のIP-3の濃度は変化せずに、IP-6の濃度は増加する。しかし、癌細胞においては、IP-6を投与するとIP-6の濃度は変わらずにIP-3の濃度が上昇した。

G0/G1 arrest and S phase inhibition of human cancer cell lines by inositol hexaphosphate (IP6).
(IP-6はヒト癌細胞において細胞周期のS期を阻害しG0/G1で止める)
Anticancer Res 21(4A):2393-2403, 2001

乳がん細胞株(MCF-7)と大腸がん細胞株(HT-29)を用いて、細胞の増殖に対するIP-6の作用を明らかにするため、細胞のDNA合成活性や、DNA合成に働く蛋白質(Ki-67, PCNA)の量に対するIP-6の作用を検討した。癌細胞が分裂をするためDNAを合成する時期であるS期の細胞が、IP-6投与により減少し、静止期(G0/G1期)の細胞が増加した。つまり、IP-6は癌細胞の増殖を抑える効果がある。

Protective effect of phytic acid on oxidative DNA damage with reference to cancer chemoprevention.
(フィチン酸(IP-6)はDNAの酸化障害を防ぐが癌予防効果と関連している)
Biochem Biophys Res Commun 288(3):552-557, 2001

フィチン酸[Phytic acidまたはmyo-inositol hexaphosphate(IP-6)]は最も有望な癌予防物質の一つである。過酸化水素(H2O2)を発生させて培養細胞のDNAを酸化させる実験系で、フィチン酸は過酸化水素を消去する効果はないが、過酸化水素によって起こるDNAの酸化障害を抑制した。イノシトールにはDNA障害を予防する効果は認めなかった。
フィチン酸は金属をキレートすることによってDNAの酸化障害を防ぎ、癌予防効果を発揮していることが考えられる。

Inhibition of skin cancer by IP6 in vivo: initiation-promotion model.(イニシエーション・プロモーション・モデル実験における皮膚がん発生のIP-6による阻害)
Anticancer Res19(5A):3749-3752, 1999

マウスの背部皮膚に発ガン剤の7,12-dimethyl benz(a)anthracene (DMBA) で遺伝子変異を起こし(イニシエーション)、3週間後に腫瘍プロモーターのTPAを塗布して皮膚がんを発生させる2段階発がん実験でIP-6の発がん予防効果を検討。
飲料水に2%のIP-6を混入してイニシエーション時期からIP-6を投与すると、皮膚癌の発生は半分に減少した。しかし、プロモーション時期のみに投与した場合には発がん予防効果は見られなかった。

IInositol hexaphosphate inhibits cell transformation and activator protein 1 activation by targeting phosphatidylinositol-3' kinase.(IP-6はフォスファチジルイノシトール-3'キナーゼに作用して細胞の癌化と転写因子AP-1の活性化を阻害する)
Cancer Res 57(14):2873-2878,1997

哺乳動物の細胞内には10〜100マイクロモル(μM)のIP-6が存在する。IP-6が癌の予防や治療に有効な物質であることが知られているが、そのメカニズムについては不明である。
細胞の癌化を促進するプロモーター(フォルボールエステルなど)を細胞に作用させると、activator protein 1 (AP-1)という細胞内の転写因子(遺伝子の発現のスイッチを入れる蛋白質)が活性化される。
この論文では、上皮細胞成長因子(Epidermal Growth Factor, EGF)で誘導されるフォスファチジルイノシトール-3'(PI-3)キナーゼの活性化をIP-3は阻害することを報告している。IP-6によるPI-3キナーゼの阻害は、EGFやフォルボールエステルによる細胞の癌化やAP-1活性化を阻止する。
つまり、IP-6はPI-3キナーゼを阻害することによって抗腫瘍効果や癌予防効果を発揮している可能性がある。

Inositol hexaphosphate: a potential chelating agent for uranium(イノシトール-6リン酸:ウラニウムのキレート剤としての可能性)Radiat Prot Dosimetry127 (1-4): 477-479. 2007

放射線被曝に関連した危険性を低減する方法としてキレート療法は有効な治療法である。
ウラニウムの体内取り込みに対して、今までは1.4%炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)の点滴が治療に使用されていた。しかし、有効性はそれほど高くはなかった。この研究では、ウラニウムの体外排泄に有効な物質を探索する目的で、炭酸水素ナトリウム、クエン酸、ジエチレントリアミン5酢酸、エチドロン酸、イノシトール-6-リン酸について、ウラニウムをキレートする作用を検討した。
その結果、検討したキレート剤の中で、イノシトール-6-リン酸(フィチン酸)がウラニウムに対して最も強い親和性(affinity)を示した。したがって、イノシトール-6-リン酸はウラニウムを体外から排泄するキレート剤となる可能性が示唆された。

(解説)この論文では、イノシトール-6-リン酸がウラニウムと強く結合(キレート)することを示し、このイノシトール-6-リン酸(フィチン酸)のキレート作用がウラニウムの体外排泄の促進に効果が期待できる可能性を報告しています。したがって、IP6を多く摂取しながら、IP6のキレート作用で不足するかもしれない必須ミネラルをサプリメントで補うというのは、放射能汚染の一つの対策として有効性が期待できそうです。

 
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