●食物繊維の豊富な食物を食べているのに、IP-6をサプリメントとしてとる必要があるのですか?
IP-6は穀物やマメ類に豊富に含まれていますが、IP-6をサプリメントとして摂取することは幾つかの利点があります。
まず第一に、穀物やマメ類に含まれるIP-6は、蛋白質やミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)と結合して複合体を形成し、消化管からの吸収が悪い状態で存在しています。したがって、食物繊維の形で摂取してもIP-6はほとんど体の中に吸収されないのです。精製したIP-6は、食物繊維中のIP-6より極めて吸収が良いことが多くの研究で明らかになっています。
さらに、IP-6はがん細胞にいち早く取り込まれることが知られています。これはIP-6が抗がん作用を発揮する理由でもあります。動物の発がん実験では、食物繊維を多く与えると癌の発生が低下することが報告されています。その食物繊維に含まれるのと同じ量のIP-6を与えると、さらにがんの発生を抑制する効果が高まりました。
前述のように食物繊維に含まれるIP-6は生体に利用されにくいので、純粋な形でIP-6を摂取する方が抗がん活性が高いのです。食物繊維の豊富な食事を取ることは大切ですが、それに加えてIP-6をサプリメントとして摂取することは抗がん力を高める上で意義があります。
●IP-6とイノシトールを組み合わせるのはなぜですか?
この絶妙なコンビネーションはメリーランド大学のシャムスディン(Shamsuddin)博士によって発見されました。イノシトールはビタミンB群の一種であり、IP-6の抗がん作用と免疫力増強作用を著明に高めます。イノシトールと適切に組み合わせると、IP-6は体内で2分子のIP-3に変換されることをシャムスディン博士は発見したのです。
イノシトールはIP-6の骨格構造であり、リン原子が結合できる炭素原子を6個持っています。これらの6個の炭素原子が全てリン酸エステル化したものがIP-6です。6個の炭素原子のうち3個のみがリン原子と結合したものがIP-3と呼ばれます。
IP-6の抗腫瘍活性に関わっているのは実はこのIP-3であるという点が重要です。
培養がん細胞を持いた研究で、IP-3はがん細胞増殖のon/offを調節するスイッチの役目を果たしていることが明らかになっています。細胞内のIP-3の濃度が低い時には、その細胞はコントロールを失って増殖します。これはがん細胞の特徴です。がん細胞をIP-3の豊富な培養液に入れると増殖を止めます。これは、IP-3が細胞の増殖や細胞間コミュニケーションなどの重要な細胞機能を調節する中心的役割を果たしていることを意味しています。
シャムスディン博士は、体内でのIP-3が効率的に生成されるために必要なIP-6とイノシトールの比率を発見したのです。IP-6とイノシトールが4:1で投与した場合がもっとも抗がん活性が高いことが知られています。
●IP-6とイノシトールの組み合せはIP-6単独より効果が高い理由。
IP-6とイノシトールを組み合せると、IP-6単独より抗腫瘍効果が著明に増強されることをシャムスディン博士らは証明しています。この現象は、乳がん、肺がん、大腸がんなどの動物発がん実験で示されています。
例えば、マウスに発がん剤を投与して大腸がんを発生させる実験では、IP-6とイノシトールはそれぞれ単独でもがんの発生率を低下させましたが、両方を組み合わせるとがん予防効果は著明に高まったという研究報告がなされています。
●食物繊維の豊富な食事より精製したIP-6を摂取した方が、抗がん活性が高まるのはなぜですか?
穀物や穀物加工食品(シリアル)の中では、IP-6は蛋白質やミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)と結合して複合体として存在します。IP-6が消化管から吸収されて、体内の組織やがん組織に到達するためには、IP-6はまずこの蛋白やミネラルの複合体から分離されなければなりません。しかし、消化管の中ではIP-6と蛋白質やミネラルとの結合を分解することは困難なのです。
したがって、食物繊維の豊富な食事をしても、抗がん作用の活性本体であるIP-6を十分に吸収することができないのです。精製したIP-6は体の中に吸収されやすいので、抗がん活性がより高いのです。
●IP-6とイノシトールの組み合せは免疫機能にどのような効果をもたらすのですか?
IP-6とイノシトールの組み合わせは、抗酸化作用と免疫力増強作用の効果を持つことが報告されています。特に、がん細胞に対する免疫力の中心であるナチュラルキラー(Natural killer)細胞を活性化する作用があります。
ナチュラルキラー(NK)細胞というのは白血球の一種であり、がん細胞やウイルスや多くの感染微生物などを殺す役目を果たすので、このような名前がつけられています。ナチュラルキラー細胞は癌や感染症から体を守る重要な役割を果たしている細胞なのです。
IP-6だけでもNK細胞の活性を高めるのですが、イノシトールと組み合わせることによりその効果をより高めることができるのです。
●どのようながんに効果があるのか?
P-6とイノシトールの組み合せは、乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、皮膚がん、肝臓がん、脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、横紋筋肉腫など、ほとんど全てのがんおよび肉腫に効果があることが、動物実験などで明らかになっています。
●IP-6とイノシトールを通常のがん治療薬と一緒に使っても問題はないのか?。
全く問題はありません。IP-6とイノシトールは抗癌剤や放射線治療など通常のがん治療と一緒に行っても問題は起こりません。むしろ、IP-6とイノシトールはこれらの通常医療の効果を増強する働きがあります。
●IP-6はどのようにがんと戦うのか?。
抗がん力の基本は、活性酸素の害から体を守る抗酸化力と、がん細胞を除去する免疫力です。IP-6は体の抗酸化力と免疫力を高める効果があります。その他にも様々な特徴的な抗がん作用を持っています。
IP-6は細胞分裂の制御に関わっています。がん細胞は細胞分裂のコントロール(制御)に異常をきたしています。IP-6はがん細胞の増殖(細胞分裂)のスイッチを切る作用をしています。シャムスディン博士らは、DNA合成の速度を低下させることによってがん細胞の増殖を抑えることを報告しています。正常細胞にはそのような阻害作用は示さないので、IP-6は他の抗がん剤とは根本的に異なるのです。
通常の抗がん剤は、がん細胞のみならず正常細胞も傷つけるので多くの副作用を引き起こします。IP-6は正常細胞にダメージを与えずに癌細胞だけを攻撃することが可能です。
●IP-6は放射線被曝にも有効ですか?。
IP-6は抗酸化力と免疫力を高めるので、放射線被曝による発がんを予防します。また、IP-6は体内に吸収されたウラニウムとキレート(結合)して体外に排泄する効果も報告されています。したがって、放射線に被曝した場合にIP-6&Inositolを服用すると、放射線被曝に起因する発がんを予防できます。
●安全性は?
安全性については、動物実験や人間による臨床試験が多く行われています。その結果、IP-6は極めて安全で、大量に摂取した場合でも副作用は報告されていません。
●IP-6とイノシトールの摂取量は?
がん予防の目的には、1日にIP-6を800-1,200 mg とイノシトールを200-300 mgの摂取が必要です。がんがある場合や、発がんのリスクが極めて高い場合には、4800〜7200 mg のIP-6と1200〜 1800 mg のイノシトールを1日の摂取量として推奨されています。
これらは空腹時に摂取する方が効果的です。食事中のミネラルと結合しやすいからです。