キノコ由来の抗腫瘍多糖である ベータ・グルカン
が免疫力を活性化するときには マクロファージ
という細胞が重要な役割を果たします。マクロファージが刺激されると、遺伝子の発現を調節する転写因子の一つである NF-κB
という細胞内の蛋白質が働いて、炎症や免疫に関与する様々な酵素やサイトカインの合成を高めます。転写因子NF-κBの活性化によって発現が誘導される酵素として、
誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS) とシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)
があります。
iNOSが合成する 一酸化窒素(NO)
には抗菌・抗腫瘍作用がありますが、NOはフリーラジカルであるため大量に放出されると正常細胞を傷つけて発がん過程を促進することが知られています。
COX-2 はプロスタグランジン
という化学伝達物質を合成します。プロスタグランジンにはたくさんの種類がありますが、炎症反応において活性化されたマクロファージは
プロスタグランジンE2 を大量に産生します。このプロスタグランジンE2はリンパ球の働きを弱めたり、がん細胞の増殖を促進する作用があります。
また、活性化したマクロファージは、 腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)
やインターロイキン-12 (IL-12) を合成します。IL-12はナチュラルキラー細胞を活性化したり、細胞性免疫(Th1細胞)を増強して抗腫瘍的に働きます。TNF-αはその名の通りがん細胞を殺す作用があるのですが、大量に産生されると
悪液質 の原因となったり、腫瘍血管の新生を刺激する結果になります。
このようにマクロファージを活性化することは、免疫力を高めて抗腫瘍効果を発揮することになるのですが、場合によっては、酸化ストレスを高めたり悪液質を増悪させ、がん細胞の増殖を促進する可能性が十分あることに注意が必要です。
漢方薬とCOX-2阻害剤を併用した腫瘍免疫増強法(福田式免疫増強法)について
:(こちら)