前立腺がんに対するCOX-2阻害剤セレブレックスの抗腫瘍効果
シクロオキシゲナ-ゼ-2(COX-2)はプロスタグランジンを産生する酵素で、大腸がんや乳がんなど多くのがんの発生や増殖に関わることが知られており、COX-2の選択的阻害剤であるセレブレックス(一般名:celecoxib)が、様々な腫瘍に対して抗腫瘍効果を発揮することも多くの報告があります。
前立腺癌に対しても、セレブレックスが抗がん作用を示すことが報告されています。
例えば、2004年の第40回米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、ノースカロライナ大学の泌尿器科のグループから、セレブレックスが再発性前立腺がんの進行を遅延することが報告されています。
この研究では、PSA上昇によって再発が認められた前立腺がん患者24例にセレブレックスを1日400mg投与し、1年以上にわたりフォローアップしています。3ヶ月後には、24例中22例(92%)で有意なPSAの抑制効果(PSA上昇率の低下)が認められ、11例(46%)でPSAが低下または安定しました。
Int J Cancer(2005 年2月1日インタ-ネット版)の記事では、前立腺がん細胞に対する抗がん剤の殺細胞効果がセレブレックスによって増強されることが報告されています。
この米国マイアミ医科大学の泌尿器科グループからの研究では、前立腺がん組織における間質細胞(骨髄由来骨芽細胞)から産生されるCOX-2活性が、がん細胞の抗がん剤抵抗性を増し、抗がん剤が効きにくくする可能性を、培養細胞を使った実験で示しています。
前立腺がん細胞のPC-3MLと骨芽細胞(前立腺がん関連の間質細胞)を一緒に培養するとPC-3ML細胞の抗がん剤感受性が低下し、抗がん剤(タキソテ-ルなど)で死ににくくなりましたが、この抗がん剤抵抗性はCOX-2阻害剤のセレブレックス(celecoxib)を添加することによって減弱しました。そのメカニズムとして、セレブレックスががん細胞のアポト-シス(細胞死)に関連する蛋白質の活性に影響していることを報告しています。
マウスに前立腺がん細胞( PC-3ML)を移植して行った実験でも、セレブレックスは移植腫瘍の増殖を抑制し、タキソテールなどの抗がん剤の効果を高めることが確認されています。
【コメント】
再発や進行した前立腺がんに対してホルモン療法や抗がん剤治療を行うときに、COX-2阻害剤のセレブレックス(1日400 mg)の併用は有効と考えられます。
COX-2やセレブレックスに関しては以下のサイトもご参照下さい。
https://www.1ginzaclinic.com/cox2.html