東京銀座クリニック
 
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膵臓がんに対するUkrain(ウクライン)の有効性

UKRAIN(ウクライン) は植物のChelidonium majus L. (日本名:クサノオウ) から抽出したアルカロイド成分と、抗癌剤として使用されているThiotepa(チオテパ)を組み合わせた薬剤です。昔のソビエト連邦においてがん治療薬として認可されていましたが、ソ連崩壊後は、主にヨーロッパを中心にがんの代替医療に使用されています。
様々ながんに対して臨床的な有効性が報告されています。進行した膵臓がんに対しても、生存率や生存期間を伸ばす効果が報告されています。

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膵臓がんに対するウクラインの効果を検討した臨床試験

進行膵臓がん患者におけるランダム化臨床試験(ウクライナ):
(Drugs Exp. Clin. Res. 26:179-190, 2000)

42例の進行膵臓がんを、1)ビタミンC(1日おきに5.4gのビタミンCを10回)とウクライン(10mgのウクラインを1日おきに10回投与)を投与するグループ、2)ビタミンCと生理食塩水を投与する対象グループに分けて比較。 1年後の生存率は、ビタミンC+生理食塩水(対象グループ)が14%であったのに対して、ビタミンC+ウクラインを投与したグループは81%であった。 2年生存率は対象グループが5%に対してウクライン投与グループは43%であった。 Gemcitabineや5-fluorouracilで投与した126例の膵臓がんでは19ヶ月以上の生存者はいなかった。一方、ウクライン治療グループでは、最長54ヶ月の生存者を認めた。 平均生存期間は、対象グループでは8.92ヶ月で、ウクライン治療グループでは21.86ヶ月であった。

膵臓がんの緩和治療おけるランダム化臨床試験(ドイツ):
(Langenbecks Arch Surg. 386:570-574, 2002)

ドイツノUlm大学の外科のグループからの報告で、手術不能の進行膵臓がん90例を、A)gemcitabin(1000mg/m2)、B)ウクライン20mg/週、C)gemcitabin+ウクラインの3つのグループに分けて比較。 腫瘍の増殖抑制が、A群で32%、B群が75%、C群が82%で認められた。中間生存期間は、A群5.2ヶ月、B群7.9ヶ月、C群10.4ヶ月であった。 6ヶ月後の生存率はA群26%、B群65%、C群74%であった。 手術不能の進行した膵臓がんに対して、ウクラインの投与は生存期間や生存率を顕著に良くすることが明らかになった。

膵臓がんに対する臨床効果(ウクライナ):
(Langenbecks Arch Surg. 387:84-89, 2002)

進行した膵臓がん21例をウクライン10mgを1日おきに10回投与し、緩和治療のみを受けたグループと比較。ウクライン投与を受けた患者は疼痛が軽減し、QOLの改善を認めた。
1年生存率は緩和治療のみが9.5%に対して、ウクライン投与グループは76%であった。
生存期間の中央値は、緩和治療のみが197日であったのに対して、ウクライン投与群は574日であった。

進行膵臓がんに対するジェムシタビンとNSC-631570による補助化学療法の臨床的有効性(ドイツ): (Hepatogastroenterology, 54:917-920, 2007)

ドイツのウルム大学からの報告で、NSC-631570はウクラインの治験番号。
膵臓がんの切除手術後に補助化学療法を受けた30例(平均年齢62.3歳、ステージ2が8人、ステージ3が22人)を対象にした。抗がん剤は週1回、1000mg/m2のジェムシタビンを投与したあと、すぐに20mgのウクラインを15分以上かけて静脈内投与した。
投与は3週間行ない1週間休むのを1サイクルとして、平均9サイクル(3〜12サイクル)が行なわれた。
WHO grade IIの副作用は53%に認められたが、grade III, IVの副作用は認められなかった。30例中24例(80%)の症例で再発が認められた。 無再発生存期間の平均は21.7ヶ月で、無再発生存率は1年後が76.6%、2年後が50%、3年後が30%、5年後が20%であった。
生存率は1年後が86.7%、2年後が76.6%、3年後が46.7%、5年後が23.3%であった。 Kaplan-Meier法による生存率の解析による平均生存期間は33.8ヶ月であった。 6例(20%)は再発することなく5年以上経過している。
【結論】進行した膵臓がんの手術後の補助化学療法として、ジェムシタビンとNSC-631570(ウクライン)の併用は、安全な治療法であり、生存期間を伸ばす効果が示唆された。

一般的に、切除できない膵臓がんの5年生存率は数%程度です。 腫瘍を切除できる膵臓がんは全膵臓がんの10〜15%であり、根治的と考えられる切除を行なった場合でも、平均生存期間は10〜18ヶ月で、5年生存率は17〜24%と報告されています。
手術後にジェムザール(ジェムシタビン)を使った抗がん剤治療を行なうことによって生存率が高まり、生存期間が延長することが報告されています。しかし、それほど高い改善効果ではありません。 膵臓がんは非常に治療が困難ですが、ここで紹介した臨床試験の結果から、手術後の再発予防や、進行膵臓がんの治療においてウクラインは有効な治療薬と思われます

ウクラインの投与法:

UKRAIN は静脈内注射にて投与されます。1アンプルが5mgです。
1回の投与量は5〜20mg(1〜4アンプル)であり、1週間に1〜3回注射します。腫瘍の大きさや増殖スピード、腫瘍の広がり、免疫力の状況によって量が決定されます。
1週間に2〜8アンプルを目安に注射します。
通常、40アンプル(200mg)投与後に画像検査や腫瘍マーカー検査などで総合的に評価して、効果がみられなければ中止します。効果があれば、腫瘍の大きさや効果の程度に合わせて週に2〜8アンプルの範囲で継続することになります。
1回に4アンプルを0.3g/kgのビタミンCの入った250mlの点滴に入れて、週3回投与を計10回を1クールとして、2クール実施することによって著明な抗腫瘍効果を得ているという報告があります。この場合、2クールを実施すると80アンプル(400mg)の投与になります。
日本では未認可医薬品ですので、保険は使用できません。
医療機関における治療ですので、確定申告の医療費控除の対象になります。

ウクライン治療の費用について

ウクラインは輸入代行業者を介して輸入します。現在の費用はウクライン(5mg)40アンプル当たり、輸入関税や送料や代行手数料を含めて909,600円です。
クリニックからの販売にすると消費税が発生するので、患者さんが輸入代行業者に直接支払いを行うこともできます。
ただし、輸入代行業者から直接購入した場合は、医療費控除の対象にはなりません。
クリニックに代金を支払って使用する場合は、医療費控除の対象になりますが、消費税と処方料が発生するので、費用は40アンプルで110万円になります。

投与(注射)は当院で行うこともできますし、近くに協力してくれるクリニックがあれば、そこで注射してもらうこともできます。
当院で注射するときは1回の注射料は2,000円です。ビタミンC点滴(25g)とウクラインを併用するときは、1回に10,000円の費用になります。
 
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