東京銀座クリニック
 
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●進行がんの補完・代替医療

がん死から免れるためには、根治手術後も積極的に再発予防に有効な方法を実践することが大切です。抗がん剤治療や放射線治療を受けている場合も、副作用の軽減や効果増強に有効な補完・代替医療は多くあります。
進行がんや末期がんの状況でも、生活の質(QOL)の改善や延命に有効な代替医療は多くあります。標準治療の効果が出なくなって緩和治療に移行せざるを得ない場合でも、効果が期待できる代替医療を組み合わせることによって延命することは可能です。

1)サリドマイド
血管新生阻害作用や悪液質改善効果を有するサリドマイドは単独では肺癌に対して効果は低いのですが、COX-2阻害剤のセレブレックスやアルテミシニン誘導体などと併用することによって癌の進展を抑制できる可能性が報告されています。
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2)COX-2阻害剤
多くのがんはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の活性が高いことが多いので、COX-2阻害剤のセレブレックスを併用することは有用です。セレブレックスには、がん細胞の抗がん剤感受性を高め、抗がん剤の副作用を軽減する効果も報告されています。
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3)アルテスネイト
マラリアの特効薬として使用されているアルテミシニン誘導体製剤は、多くの悪性腫瘍に対して殺細胞作用を示すことが報告されており、サリドマイドやセレブレックスとの相乗効果が指摘されています。血管新生阻害作用も報告されています。
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4)キサントン
マンゴスチン果皮に含まれるキサントンには、強力な抗酸化作用、COX-2阻害作用などの抗炎症作用、腫瘍細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導する作用が報告されています
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5)抗がん漢方薬
がんに対する抗腫瘍作用が経験的に知られている生薬として半枝蓮、白花蛇舌草、竜葵、夏枯草、莪朮、三稜、喜樹、七叶一枝花などがあります。これらの抗がん生薬に、病状や体力に応じて滋養強壮薬や免疫力を高める生薬などを組み合せた漢方薬を服用すると、がん細胞の増殖を抑えると同時に、がんに対する抵抗力や治癒力を高めることができます。
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6)ノスカピン
ノスカピンは咳止めとして使用されますが、細胞分裂の時に重要な役割を果たす微小管の働きを阻害する作用があるため、がん細胞の増殖を抑える効果があります。内服で効果があり、副作用の少ないという特徴があります。臨床試験で肺がんに対する有効性が報告されています。
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7)その他
  • ω3系不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)のサプリメントは、COX-2阻害剤の抗腫瘍効果を増強します。
  • メラトニンは不眠に使用されるサプリメントですが、免疫力や抗酸化力を高め、抗がん ワ剤や放射線治療の副作用を軽減し、抗腫瘍効果を高めることが報告されています。抗がん剤や放射線治療、緩和医療と併用して延命効果があることが臨床試験で示されています。
  • IP-6 & Inositolは、悪性腫瘍に対する免疫力の中心であるナチュラルキラー細胞活性を高める効果や、癌細胞の増殖を止める作用が報告されています。
  • ウクライン(Ukrain)は、免疫力を高め、腫瘍血管の新生を阻害し、腫瘍細胞にアポトーシスを誘導する作用が多くの腫瘍で確認されています。
  • ジクロロ酢酸ナトリウムの服用によりがん細胞のアポトーシスが起こりやすくなることが報告されています。
  • がん細胞の増殖を促進するシグナル伝達経路(PI3K/Akt/mTOR経路やMAPKなど)を阻害するジインドリルメタン製剤のDIM-Proキサントンメトホルミンなどを併用すると抗腫瘍効果を高めることができます。

図)がんの進行状況や、体力や免疫力の状態に応じて、組み合わせを考えます。
正常細胞に対する毒性が少なく、抗がん剤のような副作用が少ないので、QOL(生活の質)を悪化させないで、がんの進行を抑えることが可能です。うまく効果が噛み合うと、がん組織の縮小も可能です。

● サリドマイド+セレブレックス+アルテミシニン誘導体の相乗効果
サリドマイドのような血管新生阻害剤を使用すると腫瘍は低酸素状態になるため、hypoxia-inducible factor-1 alpha (HIF-1α、低酸素誘導性因子1α)という転写因子が活性化されて、低酸素の腫瘍細胞に酸素を供給するために血管新生を促進しようとします。

癌細胞はトランスフェリン・レセプターの発現が強く鉄を多く蓄積していますが、HIF-1αにはトランスフェリン・レセプターの発現を高める作用もあるため、低酸素の腫瘍細胞はさらに鉄が蓄積しやすい状況にあります。

アルテミシニンは鉄を含んだ細胞に対して選択的に毒性を発揮するので、鉄の補充とアルテミシンの投与を合わせた治療法に、血管新生阻害剤を用いた治療を組み合わせると、さらに抗腫瘍効果を高めることができます。(Med Hypotheses. 61(4):509-11.2003 )

また、アルテミシニン誘導体自身に血管新生阻害作用があることが報告されています。ヌードマウスに移植したヒト卵巣癌細胞の実験で、アルテミシニンは血管新生と癌組織の増殖を抑制し、副作用は認めませんでした。In vitroの実験で、アルテミシニンは0.5-50 μMの濃度で用量依存性に血管新生を抑制しました。(Pharmacology71(1):1-9.2004 )

◆ その他
○抗マラリア薬のアルテミシニン誘導体(アルテスネイトなど)は血管新生阻害作用がある(004)
○転移した腎臓がんの治療において、サリドマイドは高用量より低用量の方が優れている(009)
○Ukrainの抗がん作用に関する臨床試験(012)
○COX-2阻害剤は癌に対する免疫力を高める(014)
○シメチジンには血管新生阻害作用とアポトーシス誘導作用がある(015)
○黄耆を含む漢方薬はシスプラチンの副作用を軽減し、抗腫瘍効果を高める(030)
 
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